進化したマツダ「ロードスター」山道での印象は? “一体感と走る楽しさ”はバイクに匹敵! 新型は“究極のロードスター”なのか?
デビューから9年が経ったND型が刷新された意味とは
2015年に登場したマツダのND型「ロードスター」が、先頃、大幅な商品改良を受けて進化しました。今回は新しい「ロードスター」がもたらす“楽しさ”という視点から、その特徴についてお伝えしたいと思います。 【画像】「えっ!…」これがバイクに匹敵する一体感を味わえるマツダ新型「ロードスター」です(32枚)
実は「ロードスター」、僕(河西啓介)もずっと「購入したい」と思っていたクルマです。 さかのぼれば、初代(当時は「ユーノス・ロードスター」)がデビュ―した1989年、新卒で社会人となったばかりの僕は、「若者でも手が届く国産オープンスポーツ」の登場に胸を躍らせ、印鑑を持ってディーラーに足を運びました。 しかし、「大変な人気で、2年ほどお待ちいただくことになります」との言葉に意気消沈。結局、中古の英国製オープンスポーツカーを知り合いから譲り受けることになりました。 以来、「ロードスター」がモデルチェンジするたびに心惹かれていましたが、そのときどきの自分のライフスタイルやニーズと合わず、所有することは叶わずにいました。そんな中でも心がぐらぐらと揺れたのは、現行のND型が登場したときです。 車体、特に全長は、初代NA型より短いコンパクトなサイズに収められ、車重もNAと同等の990kg(「S」グレード)という軽さ。ロードスターの開発キーワードであった“人馬一体”に立ち返った設計で、初代登場から25年以上が経ち、安全性や環境配慮に対する要件などが大きく変わったにも関わらず、この軽量コンパクトさを維持しているのは驚きでした。まさに、僕が最初に憧れた初代が“戻ってきた”ように感じたのです。 そんなND型の登場から9年、今回の大幅刷新は再び僕のような“潜在的「ロードスター」ファン”の心をざわつかせました。 なぜなら、世界的に電動車へのシフトが進む昨今、古典的スポーツカーというべき成り立ちを持つ「ロードスター」が今後どうなるのか? というのは、ファンにとって気になるところだったからです。 しかし、このタイミングで手間とコストをかけて商品改良したということは、少なくともしばらくは、ガソリンエンジンを積んだ「ロードスター」をつくり続ける、という表明ともいえます。 そして、すでに熟成の域に達しているはずのND型をさらにリファインしたのだから、これは“究極のロードスター”になっているんじゃないか? という期待も膨らみました。 ●見た目は変わらずも中身は最新の「ロードスター」 いざ相対した新型「ロードスター」は、一見、何も変わっていないように見えました。 実際、資料によれば、エクステリアデザインの変更は前後のライト類とホイールのデザインだけで、それ以外は変えていないとのこと。商品を“陳腐化”させないために外観を変えるモデルチェンジも少なくないなか、マツダの誠実さを感じる変更に安心しました。 一方、試乗した「ロードスター」がまとっていた“エアログレーメタリック”という新色は新鮮でした。一見、ソリッドなグレーのようでありながら、若干、メタリック感があるクールで都会的な雰囲気。新型の人気カラーになりそうな気がします。 「見かけは変わっていない」と書きましたが、今回「ロードスター」がリファインされた主な理由は、車両の制御システムなど電子的なプラットフォームを一新することでした。 ND型がデビューした2015年以降、大幅に進化した自動車を取り巻くデジタル環境に対応するためのものですが、それを機に“マツダ・レーダー・クルーズ”(いわゆるアダプティブクルーズコントロール)や“スマート・ブレーキ・サポート”の後退時検知機能(バック時にクルマや壁などに近づくと自動ブレーキをかけてくれる機能)が追加されたのは朗報です。 実際、新型「ロードスター」を駆り出した後、高速道路を移動したのですが、アダプティブクルーズコントロールはとても便利でした。いかにスポーツカーといえど、「高速道路での移動はラクにこなしたい」と僕は思います。負担が軽減されることでドライビングに集中できるし、安全性も高まるし、ドライブに出かけるモチベーションにもなります。