「今夜はご飯にありつけるか…」スノーリゾートで急増した訪日客が「夕食難民」に 飲食店足りず立ち食いする光景も
長野県の志賀高原、外国人客が増加
長野県山ノ内町の志賀高原を訪れる外国人観光客が増加し、宿泊施設以外で夕食を取ろうとしても飲食店が限られ、夕食を取りにくい状況が生まれている。開発が制限される国立公園内でもあることから新規出店が困難なのが一因。志賀高原観光協会は今冬から空きスペースがあるホテルと、出店を希望する飲食業者をつなぐ取り組みを始めた。 【写真】景色も鍋も人気のかまくらレストラン
スキー場のラーメン店、120席が埋まる夜も
8日夜、志賀高原の「ホテルジャパン志賀」1階にある「焼肉おてんま」と「だるま食堂」は、外国人観光客で満員となった。両店は同高原では数少ない宿泊者以外も利用できる飲食店。経営者の片桐由香子さん(50)は、周辺の宿泊施設から訪れる外国人が多く「連日満員に近い状態が続いている」と話す。 2店とも満員の場合は入店を断らざるを得ず、「どこかでご飯にありつけていればいいが…」と心配になるという。オーストラリアを中心とした外国人観光客は、1泊朝食付きや素泊まり、長期滞在が大半で、夕食は宿泊施設の外に出て食べるのが一般的という。一の瀬ファミリースキー場にある無料休憩所で営業しているラーメン屋「山ノ内大勝軒」も、約120席が埋まる夜がある。
「客の数がこれまでと比べものにならない」
3年前に夜の営業を始めたが、新型コロナ5類移行後初めて迎えたスキーシーズンは「客の数がこれまでと比べものにならない」と同店社長の田内川真介さん(48)。立ち食いで我慢してもらう場合もあり「スキーのアフターとして何軒か回りたい外国人は多い。他店も出店してくれるとありがたい」と期待する。
国立公園内の観光地、新規出店難しく
志賀高原観光協会の野口晃一事務局長によると、志賀高原は自然公園法で規制される国立公園内にあることなどから新規出店が難しく、既存の建物への出店の手続きも簡単ではないという。飲食店は、ホテルやスキー場などの建物の空きスペースを使い出店しており、現在は11店舗にとどまる。
ホテルで使われていないスペース、希望者に紹介へ
野口さんは「新型コロナ禍前には店の外に列ができてしまう日があった。今シーズンは白馬や野沢温泉から志賀高原に流れてくる外国人も目立つ。夕食が取れない人が生じないようにしたい」とする。志賀高原のホテル内にはレストランやバーが休業し、現在は使われていないスペースが複数ある。「出店希望があれば協会としてホテルに話をつなげ、スムーズに出店できるようお手伝いしたい」としている。