着物の保管、手入れ、着付けを定額料金で一括提供するサブスクサービス「きものの貸金庫」を始めた布施弥七京染店＝山形市若葉町

　山形市若葉町の老舗呉服店「布施弥七京染店」（布施将光社長）が着物の保管、手入れ、着付けについて、定額で一括提供するサブスクサービス「きものの貸金庫」を始めた。「手入れに手が回らない」との声を受け、毎回きれいな状態で着てもらおうと発案した。料金は何回着ても年3万6千円。布施将英専務（51）は「着る上での面倒ごとは全て当店が担う」と話す。 　ライフスタイルが変化したほか、核家族化も進み、着物に関する知識を持つ家族がいない家庭が増えた。定期的な手入れが欠かせないものの、忙しさから手が回らない所有者は多い。着付けのできる人が少なく着用機会も減少している。 　適切な環境で保管されずに染みやカビが付き、多額の修復費用が必要なケースも多い。そこで専門店としての知識と技術をフル活用し、大切に着る人を増やそうとサービスを発案した。 　客が店に一式を持ち込むと「問診票」を書いて両者が現状を共有する。店はその後、適切な湿度で保管するほか、状態を毎月確認して虫干しもする。

　着用前にはアイロンをかけ、着付け、小物のペアリングも手伝う。着用後はしみ抜きしてプレスし、再び適切に保管する。客は事前に連絡を入れ、肌着と足袋を持参すれば、きれいな状態で着用できる。 　着付けや着用後の手入れには通常2万～3万円が必要とされ、同サービスを利用し年2回着用すると元を取れる計算だ。布施専務は「ストレスなく大切な着物を保管、着用できる。このサービスで着用する人が増えてほしい」と話す。 　サブスク対象は着物、長じゅばん、帯、帯揚げ、帯締めの1セット。利用は指定のはっ水や防汚の加工をしていることが条件。問い合わせは同店023（622）6317。営業時間は午前9時～午後6時で、火曜定休。