【オールカマー】無類の「中山巧者」マツリダゴッホが3連覇 秋の古馬GⅠ前哨戦を「記録」で振り返る
異なる競馬で3連覇したマツリダゴッホ
今週はオールカマーが開催される。レーベンスティールやステラヴェローチェ、牝馬のサリエラや2歳GⅠ馬キラーアビリティ、一昨年2着のロバートソンキー、門別デビュー馬ナイママなど今年も多彩な顔ぶれとなった。 【ローズステークス2024 推奨馬】先行力生きる舞台、条件次第で勝率75%データ該当で確勝級! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) GⅠシーズンを前に、伝統の中山重賞に注目が集まる。今回はオールカマーの記録を振り返る。なお、データは新潟開催も含めた1986年以降のものとする。 調教師の勝利数で1位は3勝の国枝栄調教師。今年は管理馬のサリエラが出走登録している。2位タイで2勝の高野友和師や藤沢和雄師、二ノ宮敬宇師が並ぶ。 2位タイとなった3人の調教師はいずれも別々の馬で2勝を挙げているが、国枝師はマツリダゴッホだけで3勝を挙げた。オールカマーを2勝した馬が他にいないなか、マツリダゴッホは唯一、3連覇という偉業を成し遂げている。まさに無類の「中山巧者」である。 マツリダゴッホは有馬記念をはじめ、AJCC、日経賞そしてオールカマー3連覇と中山の重賞を6勝した名馬。オールカマーでは、2007年は道中8番手から位置を上げ4角2番手から押し切り、08年は3角6番手から上がり最速を繰り出して差し切り、09年は逃げ切りと、勝ち方も多種多様だった。 ちなみにオールカマーを逃げ切ったのは、他にダイナフェアリー、ツインターボ、メジロドーベル、トーセンダンディ、スティッフェリオの5頭がいる。 逆に4角で後方にいた勝ち馬としては、4角12番手だったラケットボールがまず挙げられる。次いでヴェルデグリーンの同9番手、ショウナンパンドラ、レイデオロが同8番手。勝ち馬の上がり最速としてはヴェルデグリーンが1位(33.6秒)を記録している。
過去には地方馬の好走も
オールカマーはその名の通り、地方馬の中央挑戦の場でもあった。1986年にはジュサブロー、91年にはジョージモナークが勝利を挙げている。さらに地方馬の2着も4度あり、06年のコスモバルクがバランスオブゲームの2着と好走している。 地方の調教師でオールカマーに挑戦した回数のランキングは、3位タイが2回で、安達小八師、三坂盛雄師、大山末治師ら計5名。2位が3回で、小佐井美喜調教師となっている、そして1位は7回の赤間清松師である。 赤間氏は、騎手として東京ダービー6勝、羽田盃7勝、東京大賞典3勝など多数の記録を樹立した名手でもあった。調教師としては上述のジョージモナークで1990~92年のオールカマーで2、1、5着と結果を残し、ハシルショウグンも93年に2着と好走させた。さらに所属騎手だった内田博幸騎手を育て上げた存在としても知られている。 最後に、集計した過去38回のうち、勝ち馬の単勝オッズが二桁となった数を見ると7回あったが、6番人気以下の馬が勝利したのは4回だけ。基本的には人気どころの勝利が多い。今後、様々なチャレンジャーが盛り上げてくれることを願いたい。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん