澤村國矢、12月に澤村精四郎(きよしろう)襲名「若手の希望になりたい」中村獅童を兄と慕い「超歌舞伎」が転機
澤村國矢(46)が歌舞伎座「十二月大歌舞伎」(3~26日)の第1部「あらしのよるに」で2代目澤村精四郎(きよしろう)を襲名する。一般家庭出身では異例の幹部俳優に昇進し、師匠・澤村藤十郎(81)の芸養子となる。 華のある立役で、舞踊に強みを発揮する46歳は「うれしいこと尽くしですね。子供の頃から憧れていた役を自分ができると思うと、楽しみで仕方がありません」。2016年に始まった。兄と慕う中村獅童(52)には、名前の読みが同じ歌手の忌野清志郎さん(享年58)を引き合いに「いい名前だよ。ロックの神様と同じだぜ」と祝福された。 「超歌舞伎」が役者人生のターニングポイントだ。リミテッドバージョンでは主役を経験し、「いつも下で支えていた大梯子(はしご)の立ち回りは、初めて上って、天まで上がったくらい高く感じました」。上演前の解説で舞台上の獅童から「國矢、聞こえているか? お客さんが集まってくれてるぞ!」と言われ、「楽屋で泣きました。モニターで見て『聞こえてます!』と大声で答えました」 9歳で子役デビューしたが、中学時代に一時、芸能活動から離れた。「思春期で素行が悪くて、国立劇場の養成所をやめたんです。2か月で。師匠に『顔も見たくない』と怒られ、謝りに行っても門前払い。そこで『歌舞伎ができなくなる』とハッとしました」。その後、許しを得て翌年から正式に入門したが、師匠に「レッテルを貼られてのスタートだから、2倍も3倍も頑張らないとだめだ」と諭された。 一般家庭出身者の星になる。「いい流れになっているので、一過性にならないように、自分がしっかりやって、後に続く若手の希望になりたい」と意気込んでいる。(有野 博幸) ◆澤村 國矢(さわむら・くにや)1978年6月9日、埼玉県生まれ。46歳。88年7月、歌舞伎座「義経千本桜」の子狐で初舞台を踏み、95年3月、澤村藤十郎に入門。同年5月、金丸座「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の「郭文章 吉田屋」の若い者で澤村國矢を名乗る。2010年2月、歌舞伎座「籠釣瓶花街酔醒」の若い者千吉で名題昇進。「超歌舞伎」は第1作から参加。屋号は紀伊国屋。
報知新聞社