『アリス・イン・ワンダーランド』が女性に人気の理由は? 多彩な衣装に目を奪われる
イギリスエンタメ好き歓喜の豪華なボイスキャスト
『アリス・イン・ワンダーランド』は、ティム・バートン監督作常連のジョニー・デップやヘレナ・ボナム=カーターに加え、儚げな美しさが魅力のミア・ワシコウスカ、『プラダを着た悪魔』(2006年)で世界的に注目を集めたアン・ハサウェイら豪華なキャストが出演している。しかしここではあえて、原語版のボイスキャストについても紹介させてほしい。実はイギリスエンタメ好きにはたまらない布陣となっているのだ。『金曜ロードショー』は基本的に二カ国語放送しているため、副音声で英語版を視聴することもできるし、日本語字幕も表示できるので、興味があればチェックしてみるのも楽しいだろう。 青いイモムシことアブソレムを演じているのは、『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプ役でおなじみのアラン・リックマンだ。低音の落ち着いた声が、思慮深くも気だるげなキャラクターにマッチしている。ちなみに 本作の続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(2016年)は、同年に逝去した彼の遺作となった。 双子のトウィードルダムとトウィードルディーを演じるのは、マット・ルーカス。コメディシリーズ『リトル・ブリテン』(2003年~2005年)で国民的人気を獲得した彼は、その後『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011年)や『パディントン』(2014年)、最近では『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(2023年)などに出演している。これまでのキャリアで培ってきたとぼけた演技が魅力的だ。 アリスがワンダーランドに迷い込むきっかけとなった白ウサギを演じるマイケル・シーンは、『トワイライト』シリーズや、『クィーン』(2006年)、テレビシリーズ『グッド・オーメンズ』(2019年~)などへの出演でも知られてる。終始怯えたような白ウサギの慌てふためく様子に、面白味を加える演技に注目してほしい。 そして人気キャラクターであるチェシャ猫を演じているのは、こちらもイギリスで国民的人気を誇るスティーヴン・フライだ。俳優として『ゴスフォード・パーク』(2001年)や『Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年)、『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』(2011年)、『ホビット』シリーズなどへの出演のほか、クイズ番組の司会者としても知られている。また『ハリー・ポッター』シリーズのイギリス版オーディオブックの朗読者としても有名だ。チェシャ猫のミステリアスでつかみどころのない雰囲気を、やわらかいセリフ回しで見事に表現している。人気と実力を誇る英国のトップ俳優たちがワンダーランドの住民に扮し、不思議な世界観を盛り上げているのだ。 『アリス・イン・ワンダーランド』は、自分は周囲とどこか違うと感じながら、将来に不安を感じていたアリスが、ワンダーランドでの冒険を通して自ら未来をつかみ取る勇気と覚悟を得る物語だ。奇想天外なその旅路は見事な衣装で彩られ、その途中で出会う仲間たちも奇妙だが魅力的なキャラクターばかり。ぜひアリスとともにワンダーランドの冒険を楽しんでほしい。
瀧川かおり