大谷翔平の進化を徹底分析 外角低めのボール球を振らずに高打率を生み出した
【シアトル(米ワシントン州)22日(日本時間23日)=丹羽政善通信員】米大リーグで大谷翔平投手(29)が所属するドジャースは試合がなく、23日(同24日)のナショナルズ戦から9連戦に臨む。21日(同22日)に今季5号を放ち、日本選手最多を更新するメジャー通算176号を放った大谷は、ともに両リーグトップの打率.368、35安打を誇る。データから「外角低めのボールゾーンを振らなくなった」ことが、好調の要因として浮かび上がった。 【イラストで解説】「外角低めのボールゾーンを振らなくなった」大谷翔平の進化 「16・3%」→「0・5%」。この数字こそ、大谷がMLBで全体トップの35安打、打率・368をマークしている秘訣だ。 数字は「外角低めのボールゾーンのスイング率」を示す。左投手に対しては昨季、外角低めのボール球を149球投じられ、29スイング(16・3%)。今季は24試合消化時点とデータは少ないものの、今季は同19球でわずか1スイング(0・5%)だ。 「どんなシチュエーションでもボール(球)は振らない。ストライクを振る」。大谷の打席での心構えだ。 相手バッテリーは昨季本塁打王の長打力を警戒し、自然と外角低め、さらにボールゾーンへの配球が多くなる。特に左投手と対戦した際は、スライダーなど大谷から離れていく変化球を多投される傾向にある。 大谷は相手の配球を分析することでボール球を見極め、スイングする回数を極端に減らしている。それがハイアベレージにつながっている要因だ。孤軍奮闘せざるを得なかったエンゼルス時代と違い、自身の後を打つ3番フリーマンや4番スミスにつなぐ意識も大きいだろう。日本勢ではイチロー以来となる首位打者と最多安打の獲得、さらに三冠王も夢ではない。 ただ今季は得点圏で打率・136(22打数3安打)、5打点とチャンスを生かし切れていない。もともと積極的にスイングするタイプで「(好機の打席で)単純に(スイングする)ゾーンが広がっている」と自己分析。だからこそ「特に変えないようにするのが、変えたこと。全打席、どんなシチュエーションでもしっかり、自分のバッティングを変えずにやっていければ」と課題を挙げている。 23日(同24日)からはワシントンDC(対ナショナルズ)、カナダ・トロント(対ブルージェイズ)、アリゾナ州(対ダイヤモンドバックス)と敵地での9連戦が始まる。大谷は高打率を保ちながら本塁打も増やし、ナ・リーグ西地区での首位固めに貢献する。