「競争には参加しない」。そう語る異色の芸人・XXCLUBの大島育宙にインタビュー!
――一般的に芸人というと、テレビや舞台に出たり、賞レースをめざしたり、というイメージがありますが、そういうことに興味はないのですか? 大島 学生時代はお笑いサークルに入っていて、芸人になってからも月に30本ほどライヴに出ていた時期もあったんです。でも、ネタをつくって賞レースやライヴに出たりするのが向いてないなと思って。そこをめざすメリットが、僕の自己顕示欲以外にないというか、ほかの人に求められてないというのが正直大きいところで、需要がないことにあんまり魅力を感じないんですよね。パンが和食のところに並んでいたら、洋食のところに戻されるでしょう、という話で。どれだけやる気があっても、似合わなかったらそれは実を結ばないと思うので。あと、競争にはできるだけ参加したくないっていうのもあります。競争を当たり前だと思うとしんどいですよね。競争になっちゃっている時点でもうしんどさが増しているんで、競争がないフィールドでできるならそっちのほうがラクだし、得だなって思います。 ――ドラマ考察を始めたのも、そういう考えからなんですか? 大島 そうです。ドラマと映画だったら映画のほうが数は観るんですけど、世の中には映画評論家がいっぱいいて、映画YouTuberみたいな人たちもいるし、そこにはこじ開けるほどの席はないかなって。でも、テレビドラマの批評はYouTubeでは全然いなかったので、じゃあ、ドラマをいっぱい観てやればいいんじゃないかなと思ったんです。僕はアニメをあんまり観ないんですけど、ちょっとうらやましく感じているところがあって、アニメって好きな人たちが、例えばゼロ年代の傑作みたいなことをいまだに語り続けていますよね。だから、ずっと残り続けるんですよ。後追いでも名作を知ることができる回路があるから。けれども、ドラマに関しては、そういう土壌がほとんどなくて、最近ようやくSNSを中心に盛り上がってきたかなという感じです。そういう意味でもやってよかったなと思っています。