「ボコ・ハラム」の少女拉致 ナイジェリアの人身売買の実態は?
集団誘拐事件とナイジェリアの行方
5月9日、国連安保理は今回の事件が「人道に対する罪に当たる可能性がある」という非難声明を発表。集団誘拐事件への国際的な関心の高まりを受けて、ナイジェリア政府はこれまでの、国家としての独立を尊重する立場からテロ対策に外国の協力を得ることに消極的だった姿勢を転換。米国、英国、フランス、中国が人質解放の専門家の派遣や、人工衛星を用いた捜索などの協力を開始しました。 5月12日、ボコ・ハラムは新たなメッセージビデオを公開。少女たちの解放条件として、当局に拘束されている仲間全員の釈放を要求しました。これに対して、5月13日にナイジェリア政府は交渉に応じる姿勢を一旦みせましたが、翌14日にはボコ・ハラムメンバーの釈放を含む交渉の可能性を否定しました。 交渉と集団誘拐事件の行方は予断を許しません。ただし、仮に交渉が成功し、集団誘拐事件そのものが解決したとしても、ボコ・ハラムによるテロ活動と人身取引がなくなるわけではありません。したがって、これら集団誘拐事件を生んだ問題への国際的な協力もまた、求められるといえるでしょう。 (国際政治学者・六辻彰二)