今季こそ出現を…「神様の恋の通い路」御神渡り 長野で「観察」開始
長野県諏訪市小和田の八剱(やつるぎ)神社は小寒の5日早朝、御神渡(おみわた)り出現に向けて準備をする「湖面観察」を始める。2018年2月を最後に6季連続で御神渡りのない「明けの海」が続く諏訪湖。厳寒期となり、諏訪地域では湖の結氷状況への関心が高まっている。今冬は観察が始まって583年目にあたり、判定と神事をつかさどる宮坂清宮司(74)は「ぜひ氷上で拝観式を行いたい」と寒さを祈る日々だ。 「神様の恋の通い路」の愛称で親しまれる御神渡り。割れた氷が山脈状にせり上がり対岸に伸びる自然現象で、その記録は、室町時代中期の1443(嘉吉3)年起点の「当社神幸記」に始まり「御渡帳」、現在の「湖上御渡注進録」として582年間、書き継がれている。 記録を解読した宮坂宮司によると、初年の1443年は12月8日(新暦では翌年の1月9日ころ)に全面結氷。10日卯の刻(午前6時前後の約2時間)に御神渡りが発生し、12日にも出現したとの記載がある。 かつては珍しいものではなかったが、近年は暖冬傾向で明けの海が激増。これまでに80回(記録上は欠落している5回含む)あったうち、1951年以降が39回と全体の半分を占める。宮坂宮司は「昨年は全面結氷すらしなかった。御渡(みわた)りが過去の出来事として伝説になる時代が近い将来、来るかもしれない」と、明けの海からみた気候変動を危惧する。 湖面観察は、宮坂宮司と岡崎広幸大総代をはじめ氏子総代が諏訪市豊田の舟渡川左岸河口の観察場所で午前6時半から、気温、水温、湖面の状態などを調べて記録し、2月初めの立春まで毎朝行われる。【宮坂一則】