中日・谷繁兼任監督は成功するか?
チーム内の不協和音の可能性
古い話になるが、三宅さんは1972年に故・村山実兼任監督が成績不信の責任を取ってシーズン途中に指揮権が金田正泰ヘッドコーチに移るというチーム内の権力闘争も見てきた。 その上で、こんな意見を語る。 「兼任監督は統率力にも影響が出てくる。谷繁と長く共にプレーしてきた他のベテラン選手は、そのすべてを見てきているから、よほどの人物でない限り、負けが込んだり、納得のできない采配をするとチームの不協和音につながる。おまけに選手として結果を出せない時には、なおさら統率力に欠けてしまう。私は中日のチーム内の人間関係は良く知らないが、ベテラン選手が多いし、これから世代交代を進めていかねばならないチームとなると、もっと厳しいのではないだろうか」
落合GMの対応がカギ
ヤクルトの古田監督時代には、あの人格者、宮本慎也でさえ、そっぽを向いたと言われている。チーム成績が悪くなって、そういう雰囲気が一度でも生まれるとチームはバラバラに空中分解してしまう。まして、今回は、落合GMという存在がある。落合GMが、それらの問題解決に策を講じてくれればいいが、逆に何らかの形で現場介入をしてしまえば、谷繁自身がモチベーションを失ってしまうケースも考えられるだろう。ヘッドコーチとして、落合の腹心中の腹心、森繁和氏が、入閣するのならば、よほどコミュニケーションを密にしなければ谷繁が不信感を抱いてしまう危険性もある。 『古田の失敗』を反面教師に谷繁が兼任監督という時限爆弾をどうコントロールするのか。それも含めて来季の中日の野球はおおいに楽しみである。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)