【マレーシア】日系も電動車の新モデル発表 自動車協会展示会、6年ぶり開催
マレーシア自動車協会(MAA)主催のモビリティー展示会「クアラルンプール国際モビリティーショー(KLIMS)2024」が、首都クアラルンプールで今月11日まで開催されている。同展示会の開催は2018年以来6年ぶり。開幕に先立ち、4日に報道陣に先行公開され、日系をはじめとする国内外の自動車メーカーが、電気自動車(EV)を含む電動車の新モデルの投入を発表した。 日産自動車は、マレーシアで同社の車両の組み立て・販売を手がけるエダラン・タンチョン・モーター(ETCM)を通じて、日産独自のハイブリッド技術「e―POWER(イーパワー)」を搭載したスポーツタイプ多目的車(SUV)「キックス」の新モデルを発表した。来年1月の発売を予定する。「VL」と「VLT」の2グレードを展開し、税金や車両登録証の取得手数料などを含めたオンザロード(OTR)価格(保険料除く)は11万3,800~12万5,800リンギ(約390万~430万円)と、低めに設定した。 日産はこのほか、EVコンセプトカー「ニッサン ハイパーツアラー」を展示している。日産の星野朝子副社長(チーフ ブランド&カスタマー オフィサー、日本・アセアン マネジメントコミッティ議長)は、車内空間が広い同モデルを「タイヤの上にあるリビングルーム」と表現し、「友人や家族との集まりを好むマレーシアの人々に最適な空間」とアピールした。同社は、向こう3年でマレーシア市場に新たに3~5モデルを投入する計画だ。 トヨタ自動車は、マレーシアでトヨタ車の製造・販売を手がける現地合弁会社UMWトヨタ・モーターを通じて、中型セダン「カムリ」のハイブリッド車(HV)を発表した。価格は24万8,800リンギから。SUV「カローラクロス」もマイナーチェンジし、HVにスポーツタイプ「GRスポート」を追加する。自動車の電動化で多様な選択肢を提案する「マルチパスウェイ」戦略に沿って、さまざまなタイプの自動車を提供する。 ホンダは、来年にマレーシア市場に初めてEVを投入すると発表した。マレーシア法人ホンダ・マレーシアを通じて、SUV「e:N1」を発売する予定。ホンダはe:N1のほか、ハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載する既存モデル、独自開発を進めている「空飛ぶ車」の「eVTOL(イーブイトール)」、電動パーソナルモビリティー「モトコンパクト」も紹介している。 中国の長城汽車(GWM)は、来年に「坦克(タンク)」ブランドのSUVのHV「タンク500」、高級SUVブランド「WEY」のプラグインハイブリッド車(PHV)「WEY80」を発売すると発表した。 ■プロドゥア、試作車第2弾公開 ダイハツ工業が出資し、国内の自動車市場でトップシェアを握る国民車メーカーのプロドゥアは、来年の発売に向けて開発中のEVの試作車第2弾「eMO―II(エムオー・ツー)」を公開した。 プロドゥアのザイナル・アビディン・アフマド社長兼最高経営責任者(CEO)によると、当初は月間500台程度の生産を計画している。価格は5万~9万リンギに設定する見通しで、現在国内で販売されているEVの平均的な価格15万リンギを大幅に下回る。同時にEV充電器の設置も進める計画で、40~50キロメートル間隔で設置することを目指す。 プロドゥアは昨年5月、初の自社EV「エレクトリック・モーション・オンライン(EMO)」の開発構想を発表。今年5月には、小型ハッチバック「マイヴィ」をベースにした試作車第1弾「マイヴィ・コンバージョン」を発表した。 アンワル・イブラヒム首相兼財務相は10月の25年度国家予算案演説で、プロドゥアが10万リンギ以下のEVの生産を計画していると説明。投資貿易産業省は、同社のEV生産を支援する方針を示し、手頃な価格の車両を投入することで、国内でのEV普及を促進していくとした。 KLIMS2024は、クアラルンプールの展示場「マレーシア国際貿易・展示センター(MITEC)」で開催されている。70社が出展し、来場者は前回18年の実績を上回る25万人を見込む。