【カープ】北別府さんの遺志次代へ 妻広美さんが社団法人 児童施設に用具寄贈 カープOBも協力
広島東洋カープの元投手で昨年6月に亡くなった北別府学さんの妻広美さん(64)=広島市西区=がカープOBの協力を得て、児童養護施設などに野球用具を贈る一般社団法人を立ち上げた。経済的な環境に関係なく子どもに野球を楽しんでほしいという夢を持ちながら、病に倒れた北別府さんの遺志を継いだ。 【写真】北別府学さん、写真で振り返る栄光の野球人生 広美さんの講演活動をはじめ、北別府さんやOBの大野豊さん、小早川毅彦さんたちのグラブなどをチャリティーオークションに出した収益や寄付金で用具を買い、国内外の子どもに寄付する。友人たちスタッフ8人態勢で8月に発足した。
被災地支援に力
広美さんによると、現役当時の北別府さんは家庭内でも近寄りがたい雰囲気だったという。「負けた日はそれはピリピリして…」と振り返る。そんな北別府さんが2012年の野球殿堂入りで変わった。「これからは人に尊敬されたい」と口にするようになった。 77人が犠牲になった14年8月の広島土砂災害。シャベルやスコップを手に夫妻で被災地に通った。東日本大震災の被災地やフィリピンのスラム街で野球を教えたり用具を贈ったりする活動にも力を注いだ。「野球は逆境にいる子どもの力になる」と語っていたが、病に侵され夢は断たれた。 広美さんが悲しみに暮れる中、カープの松田元オーナーから「頑張れ」と背中を押された。広美さんは1年がかりで法人「Next Player’s Foundation」(中区)を設立。今月17日に活動の第一歩として大野さんと児童養護施設の広島修道院(東区)を訪れ、グラブやボールなど20点を贈った。児童とキャッチボールをした大野さんは「子どもを幸せにする素晴らしい取り組み。協力は惜しまない」と話す。 OBの達川光男さんや高橋慶彦さん、米大リーグのタイガースの前田健太投手にも協力を呼びかけている。広美さんは「活動を始めるとあの人が横にいる気がして、涙も流れなくなった。野球を通じて子どもたちに『1人じゃないよ』と伝えたい」と意気込む。
中国新聞社