119番通報時、スマホで音声だけじゃなく映像もOK 福井市消防局が10月から新システム導入
福井県の福井市消防局は10月1日から、119番通報時にスマートフォンを活用して、リアルタイムの映像により救急現場の状況を通報者と共有するシステム「映像通報119」の運用を始める。同消防局によると同様のシステム導入は県内で初めて。通報者が言葉で説明しにくい状況が視覚的に把握でき、映像を基に的確な指示をすることで応急処置の効果や救命率の向上につなげる。 通常の119番通報では、通報者からの音声のみで現場の状況を把握しなければならず、通報者が動揺して状況をうまく伝えることができなかったり、症状の把握に時間がかかったりするケースがあるという。同様に映像を119番通報に活用するシステム導入の動きは、全国の消防組織で広がっている。 一般的に心肺停止から救命処置を施すまでの時間が短いほど救命率が高まる。同消防局によると、昨年の覚知から現場に到着するまでの所要時間は平均8分30秒。同システムを使うことで、より早く的確な処置につながると期待している。また画像を通して交通状況を把握することで、交通整理の人員が必要かといった判断が可能になるという。 映像通報119では、通信指令員が必要と判断した場合、通報者のスマホにショートメッセージを送信。受信した通報者が記載されたURLをタップするとカメラが起動する仕組み。映像を基に指令員が指示を出すほか、成人、子どもそれぞれに応じた心肺蘇生法、出血、やけどの応急処置法などの動画をスマホに届けることもできる。 市は同消防局の情報管制センターにシステムを設置。現在、映像を送受信する訓練や回線の不備などトラブルに対応するシミュレーションを行い、運用開始に向けて準備している。同消防局管制課の担当者は「ライブ映像を活用することで、通報者の安心につなげていきたい。必要となった際は協力をお願いしたい」と話している。