「連絡はFAX」高校野球界の“昭和にも程がある”現状 デジタル化が進む一方で「取り残されている」
「デジタル・デバイド」という言葉は、最近あまり目にしなくなった。ネット社会が進展する中で、IT環境にアクセスできない人たちが不利益を被るということだ。 【写真】一球速報アプリを入力する女子マネジャー 総務省の情報通信白書によるとスマホの世帯普及率が90%近くとなり、さすがに「ガラケー」を使うお年寄りはあまり見かけなくなった。「デジタル・デバイド」という言葉は「死語」になりつつあるのか、と言いたいところだが、筆者が主として取材対象とする野球界では残念ながらこの言葉は生きている。
なぜなのかはわからないが、野球関係者は今も「ファクシミリ」が好きだ。プロ野球でも、ほんの数年前まで「取材依頼はファクシミリで」という球団があった。 いまどき、ファクシミリがある家庭は非常に少ないだろう。コピー機兼用の機器があるくらいだろうか? 筆者も困り果てて近所のコンビニから送信したりした。 ■ファクシミリが現役で稼働する地方高野連 そして地方の高校野球連盟では、いまだに「ファクシミリで取材申請を」と言うところがあるのだ。
「取材申請」については、説明が必要だろう。プロ野球や高校野球では、新聞、テレビなど「運動記者クラブ」に所属しているメディアには、年間パスを発給するなどして、取材申請は特別の場合を除き必要ない。しかし雑誌やネットメディア、それに筆者などのフリーランスは取材のたびに「取材申請」がいる。 高校野球の場合、個別の学校に取材する場合でも「当該都道府県の高校野球連盟に取材申請を」という地方があるのだ。 その申請が「ファクシミリ」であるケースが、いまだに少なくない。ほとんどの地方高野連の連絡先は、連盟会長が勤務している学校であることが多い。そして電話兼用のファクシミリが、唯一の通信手段になるのだ。
■あまりに「昭和」すぎる実態 「うちは申請書類はA4サイズに統一するように言ってるんだ」。ある地方の高野連の事務局長は、分厚いファイルを見せて、ちょっと自慢そうに言った。私は心の中で「昭和か」と思ったのだが。 別の地方の高野連は、最近、公式サイトから申請書をダウンロードして記入し、PDFで送信することになった。 これは素晴らしい進化だ、と思ったのだが、公式サイトのアドレスにアクセスすると「レンタルサーバーの使用期限が切れている」。スマホのほうからはアクセスできるが、PCのほうはそういう状態だったのだ。