【オーストラリア】豪政府、SNSの社会的悪影響を調査へ
オーストラリア連邦政府のローランド通信相はこのほど、議会特別委員会を設置して、米IT大手メタ(旧フェイスブック)やX(旧ツイッター)などの交流サイト(SNS)による社会へのネガティブな影響を調査すると発表した。また、オーストラリアのメディア企業に対するニュース記事使用料の支払いを中止したメタの決定についても、その影響を精査する方針だ。地元各紙が報じた。 今回の調査では、ソーシャルメディアによるメンタルヘルスへの悪影響や、害のある内容や違法コンテンツへの利用者のアクセス状況、詐欺犯罪や性的虐待、過激主義の助長といったネガティブな影響について精査する。 ローランド通信相とジョーンズ財相補佐は、「SNS大手は社会に対して高い透明性と責任義務を果たさなければならず、自社が使用するアルゴリズムや企業としての意思決定、利用者がオンラインで目にするものの影響について広範囲にわたり調査すると約束する必要がある」と述べた。 メタは2月末に、同社のSNS利用者によるニュースの閲覧数が大幅に減少しているとして、地元メディア企業に対するニュース配信の対価の支払いを4月から中止すると発表し、政府やメディア業界から怒りを買っていた。 ■SNS大手との確執拡大か Xは、シドニーの教会で起きた刃物襲撃事件に関する残酷な動画や過激な主張を含む投稿の削除要請を拒否するなどし、Xのオーナーのイーロン・マスク氏はオーストラリアの規制当局からの命令に反発している。今回の議会特別委員会による調査決定を受け、政府とSNS大手の間の緊張感はさらに高まるとみられている。 メタがニュース記事使用料の支払いを中止した件については、オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)がその影響についてメディア企業から情報を収集している。 ニュース配信の対価の支払いを義務付けるメディア交渉規範の下、各メディア企業と契約更新について交渉を行うようメタに指示を出すべきかどうか、政府は現在、ACCCと財務省からの助言を待っている状況だ。