男鹿半島で大型ヘリコプターを使った初の避難訓練 大地震で道路の寸断など地域の孤立を想定
ABS秋田放送
1月の能登半島地震を受け地理的な特徴が似ている男鹿半島で大地震が起きた想定で、初めてヘリコプターを使った避難訓練が20日に行われました。自衛隊や県などが『道路が寸断されて孤立した地域』から住民を避難させるための手順などを確認しました。 男鹿半島の防災力の向上は県の喫緊の課題のひとつです。訓練で想定したのは男鹿半島沖を震源とするマグニチュード7.9の地震発生後、道路が寸断されるとともにしけで海上からは孤立した地域にたどり着くことができない状況です。 住民を救助するため男鹿市船川港の総合運動公園野球場に降り立ったのは自衛隊の大型ヘリコプター=チヌークです。 北嶋大聖記者 「このヘリは1度に最大50人前後を運ぶことができます。同じタイプのヘリが能登半島地震で住民の救助にあたりました。」 上空からの支援の重要性が浮き彫りとなった能登半島地震を教訓に。 柴田哲良一等陸佐第21普通科連隊長 「想定外がないように様々な想定のもと、関係機関と連携しつつ災害対処訓練を積み重ねることによって、実効性の向上を図っていきたい」 陸上自衛隊は県や男鹿市などと発災直後から協議を進めこの訓練を計画しました。地理的な条件が似ている男鹿半島では沿岸や山あいの12の地区が孤立する恐れがあり道路の応急的な復旧には数か月かかる見通しです。 人や物資を送り届けるためにはヘリコプターの運用が欠かせません。湾に面する戸賀地区から孤立した住民を救出する手順などを確認しました。 戸賀湾展望公園に集まったのは41年前の日本海中部地震を経験した戸賀地区や加茂青砂地区などの住人たちです。 現在、男鹿市内で自衛隊の大型ヘリコプターが離着陸できるのは、航空自衛隊の加茂分屯基地など2か所に限られています。適した広さが確保できて周辺に障害物がないなど条件があります。 県や自衛隊は今回の訓練を通して戸賀湾展望公園と総合運動公園野球場を正式に新たな離着陸地点に指定したいと考えています。 この先、支援を受ける住民側にとっても、ヘリコプターまでの移動や支援物資が届くまでの避難所などの体制整備が課題となります。 住民 「あそこまで逃げて来るのに時間がかかるので、すぐ近くの人だったら7分か8分くらいで上がってこれるけども、津波12分くらいで到達するって言われてるので、相当しっかり練習とかしなければ」 戸賀地区区長会 会長 敦賀強さん 「途中で道路が寸断されるとヘリにもたどり着けないだろうし、独自で戸賀は戸賀地区で山のほうに避難するのかなと。備蓄のことやら発電機とか、いろんなことを相談しながら今進めているところです。」 県は、自衛隊など関係機関との連携を強化するとともに今後も住民と協力して男鹿半島の防災力の向上を図ることにしています。