差別を助長?出版社への脅迫は「表現の自由」を侵害?「トランスジェンダー本」なぜ物議に… 性別越境評論家「言論や歩み寄りでの解決には絶望している」
SNSインフルエンサーでトランスジェンダーの花上惇氏は、「正しい情報を伝えていれば、言論・表現の自由から、出版はいいのでは」との立場。「体を変えることには、やってみないとわからない部分がある。後悔する人も、生き生きする人もいて、グラデーションの中で正解がわからない時代だ」。 その上で、「ひっそり暮らしたい人は、前に出たい人より圧倒的に多い」といい、「いまの世の中は、押しつけがちな風潮があり、それがヘイトを膨らませてしまう。『もう放っておいて』と思う人も多いはず。私が発信する理由は、権利の主張ではなく、間違った情報が伝わらないようにするため。ひっそり暮らしたい人を考慮して、歩み寄るのがいいのでは」と提案する。 “多様性”と一言でいっても、その考えは人それぞれだ。花上氏は「私たちが声を上げて権利を主張することも大事だが、『生理的に受け付けない』という人も、世の中にはたくさんいる。反対派の意見も含めて“多様性”。歩み寄りを否定しないが、当たり前に教育を受けられる、下の世代に期待するしかない」と述べた。 一方、阿部氏は「体をひたすら変えていくしかないと思っている」との考えを明らかにし、「そういう人が増え、性別を越境している人が当たり前になることでしか、融和はないと思っている。言論や歩み寄りでの解決には絶望しているし、周りの人も光は見い出せていない」とした。
「EXIT」りんたろー。は、「こうした書籍は、悩んでいる人に希望や勇気を与え、知識や現状を理解してもらうためにあるべき」としながら、実際には「当事者の苦悩が、二の次、三の次になって距離感が生まれ、結局得をするのは出版社だけ、みたいなってしまうのは腑に落ちない」との見方を示す。
ジャーナリストの堀潤氏は、「『誰がどういう思惑で、このテーマに火を付けているか』を明確にして話を受け止めるリテラシーを持たないと、政治的・宗教的な運動に、知らず知らずのうちに加担する可能性がある」と指摘し、「ステークホルダーが集まって、フラットに話せるような環境が、社会やメディアにあることが必要だ」とした。(『ABEMA Prime』より)