''先輩たちの頑張りで''明法が関東予選に王手
2月23日に雪のため延期となった令和5年度東京新人戦(新人選手権大会)第8地区の準々決勝2試合が3月10日、菅生学園学びの城グラウンドで行われた。 【フォトギャラリー】明法 vs 中央大学高 第2試合、明法と中央大学高が対戦した。試合が動いたのは前半4分。明法はCKの流れからDF16梅原翔永(1年)が右足で押し込み先制。ペースを掴む明法は続く26分、左サイドから右サイドへの展開から最後はキャプテンマークを巻いたFW11林佑樹(2年)が持ち込んでシュート。ネットに突き刺し、追加点をあげた。 ここまで見ると一方的な明法ペースと思われるが、決してそうではない。両チームともにハイラインを保ち、密集地帯での局地戦が繰り広げられた。いかにラインを破るか、いかにラインを破らせないか。我慢比べの展開となった。 2‐0で折り返したハーフタイム。両チームの雰囲気は対照的だった。 優勢の明法は桑田直徹監督の指示を選手がじっと耳を傾ける静かなムード。一方、中央大学高は選手たちが監督・コーチを巻き込み、ホワイドボードを使い、後半にむけた意見をぶつけあう白熱したムード。「まだ2‐0。相手のチャンス2回がそのままゴールになっただけ。大丈夫、大丈夫。俺たちはいける」そんな鼓舞する声が飛んだ。 迎えた後半。やや中央大学高が盛り返したが、前半同様のつばぜり合いは変わらず。試合が進むなか、戦況が動く。後半28分、中央大学高MF8小林瑛太が放ったロングシュートがそのまま入り、1点差。アディショナルタイムを含め、残り約15分。同点、逆転への士気は高まったが、明法はそうはさせなかった。30分、明法はサイドチェンジからスペースに走りこんだMF14嶋洸樹がカウンター。ペナルティエリアに進入し、仕掛けてシュート。これが3点目となり、中央大学高の反撃を退けた。試合は明法が3-1で勝って、準決勝進出を決めた。 「自分たちで主体的に試合ができました。雰囲気も自分たちで作れたからこそ前半の2点、後半の1点につながりました」と勝因を語ったFW11林。ターニングポイントとなった1点差に追いつかれた時点の心境をFW 11林は「チームとしてネガティブな方向にいかないようにポジティブな声を出しました。(1点差にされたことは)あまり気にしなかったですし、チームの雰囲気も落ち込んではいませんでした」と動揺はなかったようだ。いずれにしても失点直後の3点目は両チームの趨勢を決めたのは間違いない。 「(ゲームコントロールが)本当に難しくて、昨年のリーグ戦や新人戦。インターハイも選手権でもこうした点差でのコントロールで失敗してきました」と振り返る明法・桑田監督。 失敗をただの失敗とせず、チームの経験、財産として活かしてきたことがきょうの結果となった。 「(こうした失敗を)上の世代から継承して『こうしたら、こうしよう』という積み上げがいまのチームでできていることはとても良いこと。この積み上げのベースを作ったのがひとつ上の先輩たち。その先輩たちの頑張りで今ここに来られています」と胸を張った。 準決勝に進んだ明法は3月17日、都立国分寺と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)