『虎に翼』仲野太賀「佐田優三という役に出会えてよかった」 思い出深いシーンも語る
■河原での最後のデートシーン「すごく印象深かった」 これまでに撮影した中で一番思い出深いシーンについて聞くと、5月24日に放送された、寅子と河川敷でデートをしたシーンだと言う。 「出征する前に、いつも2人で行っていた河原での最後のデートシーンはすごく印象深かったです。それまでの寅ちゃんは、社会的な正しさみたいなところに自分の判断基準を置いていて、そこにとても苦しめられ、自分を責めていたんです。でも、優三としては、社会的な正しさではなく、寅ちゃんの心の正しさを大事にしてほしいと思いを伝えます。誰かのためにいっぱい頑張る寅ちゃんだからこそ、自分の人生をもっと大事にしてほしいと言える優三は、すごく優しいなと思いました。とても心を惹かれたシーンです」 そして改めて「1人の役を長い間、時間や時代の変化を感じながら演じられるのは本当に朝ドラならではで、貴重な経験をさせてもらっているなと思います。佐田優三という役に出会えてよかったなと本当に思います」と言葉をかみしめた。 最後に本作についてのメッセージをもらった。 「戦前は、女性が社会に出て活躍することがこんなにも難しい時代だったんだなと、脚本を読んで驚きました。本作では、当時の女性たちが言葉にできなかった、ため息のようなセリフが脚本に落とし込んであるので、痛快さもあります。法律の世界を目指す女性の物語というと堅く聞こえるけど、寅ちゃんはじめ猪爪家のキャラクターも個性豊かで、ユーモアにあふれた物語でもあるので、いろんな思いを背負った寅ちゃんの生き様みたいなものは、きっと見てくださる人の胸にも響くと思います。一生懸命頑張る寅ちゃんの姿を見届けてもらえたらうれしいです」 ■仲野太賀 1993年2月7日生まれ、東京都出身。2006年にドラマ『新宿の母物語』にて13歳で俳優デビュー。『すばらしき世界』(21)で第45回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、第64回ブルーリボン賞助演男優賞などを受賞。近年の主な出演作は、映画『生きちゃった』『泣く子はいねぇが』(20)、『あの頃。』(21)、『ある男』(22)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』『愛にイナズマ』(23)、『笑いのカイブツ』(24)、ドラマ『コントが始まる』『#家族募集します』(21)、『拾われた男』『初恋の悪魔』『ジャパニーズスタイル』(22)、『季節のない街』『いちばんすきな花』(23)など。 (C)NHK
山崎伸子