[山口県]12年ぶり沖合底引き網漁の新船 下関漁港で2隻披露 関係者ら300人が祝う
マルハニチロ(東京)の関連会社、下関漁業(下関市、大山雅紀社長)が新たに建造した沖合底引き網漁業船の「第7やまぐち丸」と「第8やまぐち丸」の竣工(しゅんこう)式が14日、下関市大和町の下関漁港本港岸壁であった。沖合底引き網漁業を基幹産業とする下関漁港にとって12年ぶりとなる沖合底引き網漁船の完成披露とあって、多くの関係者らが祝った。 【写真】関係者に披露された2隻の沖合底引き網漁業の新船=14日、下関市大和町 漁獲量増加や水産振興を目的に新造船を決めたという。昨年までは同社を含む計4社が5組10隻で下関漁港を拠点に操業しており、今回の新船建造で6組12隻に増加。新船は漁解禁日の8月16日から他の漁船と共に萩市見島沖から長崎県対馬周辺にかけての海域で操業を行い、下関漁港が水揚げ量日本一を誇るアンコウやアカムツ、カレイ、タコなどを中心に漁獲していく。 新船はいずれも全長約32メートル、総トン数94トンの鋼製。最新式のエンジンを搭載して燃費を向上させるなど省エネを図ったほか、網を引くロープやワイヤを巻き上げる二つのウインチを操舵(そうだ)室のリモコンを使って1人で同時に操作できるようにするなど少ない人数で操業できるようにした。乗組員数は各9人で、これまでに比べて1、2人程度省力化できるという。魚を選別する作業スペースに新たにエアコンを導入し、労働環境も向上させた。 約1年前に長崎市の造船所で建造を始め、今年2月に進水式。今週初めに下関漁港に入った。建造費は2隻で計約12億円。このうち国から約3億円の補助を得たほか、県と下関市から今後3年間にわたり実証事業関係費の助成を見込む。 漁業や行政の関係者ら約300人が参加し、華やかな大漁旗が飾り付けられた船上から紅白餅をまくなどして祝福ムードを盛り上げた。大山社長は「乗組員不足や日本人の魚離れ、資源管理問題など難しいかじ取りが求められる中、次世代にわたって必ず成果を上げてくれると期待している」とあいさつした。