平手友梨奈は今本当の“表現者”になった――新曲「bleeding love」が与えた衝撃とは何だったのか
平手友梨奈らしいポジティブさが宿る一曲に
「bleeding love」が平手友梨奈という表現者のニューフェーズであると言えるのは、「自分らしく誰かを愛する」「傷を負ったままで、ありのままの自分で誰かを愛したい」という願いがその楽曲に滲んでいるからだ。傷を負っても、離れなくていい。血を流し、苦しくても、それでもまだ誰かを愛していたい。自分を肯定し、そして歌う平手の姿は、確実に新たなるネクストステージへと足を踏み入れた表現者の姿である。彼女らしいポジティブさも、その姿からは伝わってくる。 先述した番組でのパフォーマンスでは、ダンサーの存在はなく、スタンドマイクの前で堂々と、ひとり歌う平手がいた。今は“個”で表現する、もしくは表現できるようになった、だからこそこのスタイルなのだという予感を抱かせながら、最後まで自分自身を失うことなく歌い切ったのだ。 「音楽は好き。だから…………うん……音楽でしか表現できないこととかもたくさんあるから、そういうのは面白いかな」(『ROCKIN'ON JAPAN』2021年10月号別冊より/ロッキング・オン) 「bleeding love」を歌った彼女は、今きっと自分の傷を真正面から見つめることができる場所に立っている。それはアーティストとしても、ひとりの人間としても勇気を伴うことであるが、現在の平手友梨奈なら苦しみをも強さに変えていける。 彼女は、これから人生を重ねていく過程でさまざまな感情を表現していく。痛みの先に愛を抱いた23歳の躍進を、今後も楽しみに待ちたい。
安藤エヌ