【Playback箱根駅伝】第77回/“紫紺対決”制した順大 史上2校目の駅伝3冠を達成 中大37年ぶり往路V
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第77回箱根駅伝総合成績をチェック
第77回(2001年/平成13年) 強風吹き荒れた往路 順大が新世紀最初の優勝つかむ
10月の出雲駅伝と11月の全日本大学駅伝を制し、1990年度の大東大に続く“駅伝3冠”が懸かっていた順大と、前回に続く連覇を狙う駒大による「紫紺対決」として注目された第77回大会。 前回出場校の関東学院大と東洋大が予選会敗退を喫した一方で、平成国際大と國學院大が記念すべき初出場を果たした。 1区は20km手前まで混戦模様だったが、中大・野村佳史(2年)と神奈川大・飯島智志(3年)が最後に抜け出し、ほぼ同時に鶴見中継所へ到着。同タイムながらわずかに先着した野村が区間賞を獲得した。 2区では強い向かい風の中で激しく順位が入れ替わり、法大の徳本一善(3年)が3位から先頭へ浮上。順大は岩水嘉孝(3年)が7位から3位に上げ、駒大も4位から2位へ順位を上げた。後方では平成国際大のジョン・カーニー(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間賞の走りで14位から8人抜きを達成した。 法大は3区の竹崎重紀(4年)が区間2位、4区の中村洋輔(1年)も区間3位と好走し、4区終了時まで先頭の座を明け渡さなかった。順大は3区で5位まで落としたものの、4区の野口英盛(3年)が圧巻の走りで3人を抜いて2位にジャンプアップ。先頭との差を29秒まで詰めた。 5区では70年ぶりの往路優勝を目指して法大が首位を疾走する。強風吹き荒れる中、16.6㎞で順大の奥田真一郎(3年)に追いつかれたものの、すかさずスパートをかけて前を譲らない。しかし、2人以上に高速ピッチで駆け上がる中大の藤原正和が後ろから迫ってきた。前回5区区間賞の藤原は下りでスピードを上げ、下り終わったところで奥田を捕らえると、19km地点で大村もかわしてトップに躍り出る。奥田も大村を抜いて藤原に食い下がったが、中大が37年ぶりとなる往路優勝を果たした。2位の順大との差は史上最少となる8秒だった。 往路3位は法大、優勝候補の駒大は先頭から2分24秒差の4位につけた。また、初出場の平成国際大が2人の留学生の力もあり5位と健闘した。 6区では順大の宮井将治(4年)が前回6区区間賞の中大・永井順明(4年)を逆転して突き放し、58分29秒の区間新記録を樹立。後続に36秒もの差をつけた。 順大は7区の坂井隆則(3年)で2位との差を2分12秒に広げ、これで順大の総合優勝は決まったかと思われたが、ここから駒大の逆襲が始まった。往路を4位で終えた駒大は7区で3位に浮上すると、8区の武井拓麻(4年)の区間賞で順大に28秒差まで接近。9区では高橋正仁(3年)が順大・高橋謙介(4年)との“高橋対決”を制し、3連続区間賞でついに駒大が首位へ躍り出た。 決戦の舞台は最終10区。3年連続でアンカーを託された順大の宮崎展仁(4年)序盤で駒大を捕らえ、6km過ぎで逆転。一気に突き放し、2年ぶりの総合優勝と10年ぶり史上2校目となる学生駅伝3冠を成し遂げた。 駒大は2分55秒差の2位で連覇を逃し、中大が前回に続く3位を死守。往路で3位と健闘した法大は復路でも粘りの走りを見せ、総合4位に食い込んだ。大東大は6区金子宣隆(3年)と10区真名子圭の区間新と復路2位の成績で追い上げ、往路13位からの総合6位フィニッシュ。往路12位の神奈川大も復路3位の追い込みで総合5位まで順位を上げた。 一方、シード権争いはこの年も大激戦だった。9区終了時で5位につけていた山梨学大の長谷亮(4年)が脱水症状でフラフラになったほか、日大は蒲田の踏切で足止めされて30秒のロス。早大の鈴木陽介(4年)は12位から区間2位の好走で逆転シードを狙ったが、結局日大が8位、山梨学大が9位、早大が10位となった。8位から10位までわずか31秒という接戦だった。 なお、初出場組の平成国際大と國学院大は13位、14位とほろ苦い結果に。前回7位の東海大は2区の伊藤孝志(4年)が体調不良のため無念の途中棄権となった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部