火災の掃海艇「うくしま」、転覆して鎮火後に沈没…不明3曹の捜索続く
10日午前9時50分頃、福岡県宗像市の大島北方約2・3キロを航行する海上自衛隊の掃海艇「うくしま」(全長54メートル、排水量510トン)から、「エンジンルームから火災が発生し、1人取り残されている」と第7管区海上保安本部に通報があった。海自と海保が消火活動を行い、出火から約14時間半後の11日午前0時すぎに鎮火した。乗組員1人の所在が確認できておらず、捜索が続いている。 【写真】【写真】白煙を上げる掃海艇「うくしま」(奥)に放水する海上保安官
海自は10日午後、事故調査委員会を設置した。出火元は艦後方の機械室に備わるエンジンとみられる。艦体はすでに海中に没している。
海自などによると、うくしまには約40人が乗艦。行方不明になったのは古賀辰徳3曹(33)で、20歳代の男性隊員も病院に搬送されて軽傷を負った。古賀3曹とこの男性隊員は当時、機械室を担当する当直勤務中だった。残りの乗組員は消火活動中に別の掃海艇に移って無事だった。
火災は午後2時頃にいったん鎮火と判断されたが、その後、再び燃え出した。火の手は艦全体に広がって消火活動は難航し、何度も爆発音が響いた。艦は次第に傾き、最終的に転覆して鎮火した。
うくしまには、沈下を防ぐ装置が取り付けられたが、その後、艦全体が海中に沈んだ。海保は潜水士を投入して古賀3曹を捜索する。現場には油の臭いが漂っているといい、油の流出の有無も調べている。
掃海艇は海に敷設された機雷を除去する艦艇。うくしまは海自佐世保地方隊傘下の下関基地隊所属で、磁気を探知する機雷の反応を防ぐため艦体は木製となっている。今月16日に宮崎県沖・日向灘で始まる訓練に参加するため、山口県下関市の母港を10日に出航していた。
6月4日~7月23日に行われた年次検査では、異常は確認されなかったという。
海自トップの斎藤聡(あきら)・海上幕僚長は10日夜に東京・市ヶ谷の防衛省で臨時記者会見を開き、「国民の皆様には大変ご心配をおかけしております」と述べ、古賀3曹の捜索と原因究明、再発防止に取り組むと強調した。