日本代表は“課題が残る”4得点大勝。改めて浮き彫りとなった弱点、アジアカップの再現もあり得た?【西部の目】
●ちぐはぐ感が否めなかった守備対応とは
インドネシア代表が鎌田をマークして守田との連係を制限すると、前半のように押し込むことがなくなった。61分に三笘、堂安律に代えて菅原由勢、伊東純也を投入。 菅原と前田のウイングバックとなったことで守備は強化されるが、シャドーで起用された伊東にこれまでのような無双の突破力を発揮する機会がない。 67分には菅原が前へ出てプレスしたところ、その裏へボールを送られている。誰かがプレスした後に菅原が連動して前へ出たのであれば効果的だが、菅原が単独で前へ出たのでボールホルダーに時間の余裕があり、単純に空いている裏のスペースを突かれた。 後半から高い位置で守る姿勢をみせていたが、それもちぐはぐな感じになりかけていた。 しかし、流れが良くなくても強引に得点してしまう強さが現在の日本代表にはある。菅原が伊東にボールを預けて爆発的なスプリント。途中でボールはDFに少し引っかかっていたがお構いなしに菅原が抜け出し、ニアポストまでドリブルで持ち込んで強烈なシュートを叩き込む。 これまでの予選4試合ではウイングバックにウイングタイプの選手を起用する超攻撃布陣だったため、出番のなかった菅原の鬱憤を晴らすようなゴールだった。 菅原自身は容赦のない寄せの速さで相手の攻撃の芽を摘み、守備面では最も安定感のあるウイングバックであることを感じさせた。
●交代選手の起用法には疑問が残る
ただ、全体的にはボール保持に安定性を欠き、72分にはGKのロングフィードから決定機を作られるが、シュートがGK鈴木の正面で助かる。 雨と芝生の影響があったとはいえ、ロングボールに対する脆さはアジアカップでイラン代表に敗れた試合を思い起こさせた。 79分に3回目の交代。小川→大橋祐紀、鎌田→旗手怜央が代わって入り、左側は前田、旗手のセルティックのコンビになった。しかしCFは古橋亨梧ではなく大橋。大橋はトップよりもシャドーが本来のポジションだろう。 伊東もいつものワイドポジションではなくシャドー。大橋、伊東を違うポジションで起用したわけだが、そのテストをする意味があったのかは疑問。フレッシュな選手を使うという以上の効果はあまり感じられなかった。 すでに4-0で交代が勝敗に影響を与えるようなものではなかったわけだが、焦点が絞れないまま時間を消費してしまったかもしれない。予選は結果だけが重要なので大きな問題でないが、後半はとくに不完全燃焼感が残った。 (文:西部謙司)
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