「安全保障に抑止力は不要だ!」 日本ジャーナリスト会議が8月集会で議論
日本ジャーナリスト会議(JCJ)主催の集会「軍拡の動きに、私たちはどう対抗するか――戦後80年を前に」が、8月17日に東京・千代田区内で開かれた。 「二度と戦争のためにペン、カメラ、マイクを持たない」を共通目的に掲げ1955年に設立されたJCJにとってきわめて憂慮すべき状況下での今回の集会では、第1部の基調講演で川崎哲さん(核兵器廃絶国際キャンペーン=ICAN国際運営委員兼会長)がまず、若い世代を中心に広がる、抑止力が安全保障には必要だとの見方にどう対抗していくべきかを提言。その「五つの理由」として①軍拡競争が危機を加速させる、②軍拡が奪う資源と機会、③抑止力は「武力による威嚇」ではないのか(国連憲章、日本国憲法との矛盾)、④軍事は人権と民主主義を脅かす、⑤軍事力は問題を解決しない――を挙げて具体的に説明。「『抑止(deterrence)』は『テロリズム(terrorism)』と同じ語源だ」と喝破した。 第2部では川崎さん、大森淳郎さん(元NHKディレクター)、久道瑛未さん(弁護士)、古川英一さん(JCJ事務局長=コーディネーター)の4人によるシンポジウムが行なわれた。大森さんは近著『ラジオと戦争 放送人たちの「報国」』(NHK出版)を基に、日本のラジオが1925年の放送開始から敗戦の45年までの20年間でいかに政治介入を受けて変質したかを紹介。現在がまさにそうした戦前の状況を彷彿とさせる状況になっていると指摘した。4年前に大学院を修了、一昨年に弁護士登録した久道さんは、若者たちがネット活用のうえ展開する政治参加や社会活動の例を紹介。具体的な方策の必要性を訴えた。 集会には会場75人、オンライン52人が参加。「私たちが誇る憲法をもとに『戦争の準備』ではなく『平和の構築』を目指して」と結んだアピール文の採択で閉会した。
岩本太郎・編集部