Netflix「阿修羅のごとく」四姉妹キャスティングの裏側
そんな宮沢の見事な受けをしていたのが次女役の尾野真千子だったと是枝監督。次女・巻子は、一見幸せそうに見えて実は夫・鷹男(本木雅弘)の浮気を疑っている設定。「待ち時間のあいだ、宮沢さんと尾野さんがずっとふざけていて、それに周囲が巻き込まれていく(笑)。ムードメイカーでしたね。夫の鷹男役を演じた本木雅弘さんが、尾野さんとは芝居がとてもやりやすかったと話していましたが、それくらい受けが見事でした。集中力も凄くて、一気に芝居に入っていくんです」と話す。
三女役の蒼井優とは、今回初のタッグとなった。物語は、父・恒太郎(國村隼)の不倫を知った滝子が姉妹を招集するところから幕を開ける。父の浮気調査を依頼した興信所の勝又(松田龍平)に想いを寄せられるも恋愛経験に乏しくなかなか素直になれない。是枝監督は「3秒でスイッチが入る」と述懐し、「素敵な人でしたね。尾野さんとはまた違ったタイプの集中力があって、3秒でスイッチが入る。それはそばで見ていてもわかるし、本人もわかるそうです。そして何度も繰り返しそれができる。特殊能力なのかもしれません。勝又役の松田龍平さんとの掛け合いもすごくよかったですね」とたちまち魅せられたようだ。
その滝子と犬猿の仲にある四女・咲子を演じる広瀬すずと是枝監督が組むのは、映画『海街diary』(2015)、『三度目の殺人』(2017)に続いて3度目。広瀬は「テイク1から100点を出してくる」といい、「広瀬すずさんは、基本的にNGを出しません。完璧に出来上がった状態で現場に来て、テイク1から100点を出してくる。どんなキャリアを踏むとああなるのかって、3人のお姉さんたちが驚いていました。広瀬さんは、デビュー時の宮沢さんと顔立ちが似ているとよく言われてきたそうですが、天才肌のところは似ているかもしれません」と圧倒された様子だ。
四姉妹を取り巻く男たちを演じる本木雅弘、松田龍平、藤原季節、内野聖陽とも、それぞれ抜群の相性となっている。(編集部・石井百合子)