ベンツのワゴンは小さくてもやっぱり高級でイイ!!! 新型CLAシューティングブレークが“ヤセ我慢の美学”である理由に迫る
一部改良を受けたメルセデス・ベンツの「CLA 200 d シューティングブレーク」の完成度はいかに? サトータケシがリポートする。 【写真を見る】新型メルセデス・ベンツ CLA 200d シューティングブレークの内外装をチェック!!!
外観のリフレッシュ
メルセデス・ベンツのCLAおよびCLAシューティングブレークがマイナーチェンジを受けた。マイチェンの変更ポイントのひとつは外観のリフレッシュで、フロントグリルの内側にマットクローム仕上げの小さなスリーポインテッドスターが無数に散りばめられ、きらきらと輝くようになった。ヘッドランプもきりりと鋭い目つきの造形に変わったので、全体に華やいだ表情になっている。 今回試乗したのは、2.0リッターの直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載するステーションワゴン版のCLA 200 d シューティングブレーク。そもそも華やかな顔つきになっているのにくわえ、オプションのAMGラインパッケージを装着する試乗車はフロントバンパー下の開口部の形がアグレッシブで、いかにも走りそうな雰囲気をムンムンに漂わせている。 マイチェンのもうひとつの変更ポイントは、「ハーイ、メルセデス」と音声でナビゲーションやオーディオを操作するMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)の最新世代が標準装備されるようになったこと。筆者も、「ハーイ、メルセデス」と呼びかけて、目的地を設定してから出発する。 AMGラインパッケージを装着している試乗車は、スポーク部分が2分割され、さまざまな操作系がそこに配置されるステアリングホイールを備える。このステアリングホイールと、ジェットタービンを模した空調の吹き出し口、ふたつの液晶パネルを1枚のガラスで覆うメーターパネルといったデザイン要素と、クルマに話しかけるという行為があいまって、コクピットには“新しモノ”感がある。新しモノ好きとしてはうれしい。
滋味深いエンジン
ディーゼルエンジンは低回転域から豊かなトルクを発生、発進加速時には、一瞬ふんわりと浮いてから前に進むかのような、独特の浮遊感がある。信号待ちで助手席に置かれたスペック表を見ると、320Nmという最大トルクを1400rpmから発生するとある。信号が青に変わって再発進、スペック表のとおりにアイドル回転からちょこっと上で、充分以上の力を発生していることを確認する。 このエンジン、決してまわして楽しいとか、官能的なサウンドを発生するということはないけれど、乗っていると豊かな気持ちになる。滑らかに回転を上げ、思い通りに加速してくれる。心をザワつかせるタイプではなく、心に平穏をもたらす滋味深いエンジンだ。地味なエンジンではないので、お間違えなきよう。 いっぽう、8段ATは地味ながらいい仕事をしていて、ショックや段差のない、シームレスな加減速に貢献している。 心に平穏をもたらすのは、乗り心地も同様だった。懐の深い乗り心地で、市街地ではしっとり、高速道路ではしっかりと走る。いかにも頼りがいのある操縦性だと感じさせる理由のひとつは、ステアリングホイールとブレーキペダルという、ダイレクトに身体に触れる部分のタッチがすぐれているからだろう。 まずステアリングホイールは、「いま、フロントタイヤが左に4°操舵されていて、少し荒れたアスファルトとコンタクトしていますが、次にどうしましょう?」といった具合に、情報を詳細に伝えてくれる。報告・連絡・相談の“ほうれんそう”は社会人の常識だと教わったけれど、CLAシューティングブレークはこのマナーをすでに身に付けている。 ブレーキペダルは、まずかっちりとした踏み応えが安心感を与える。いざという時に、蹴っ飛ばすようにドンと踏んでも大丈夫、という信頼感がある。そして、かっちりとしているのに、ほんのわずかに力をくわえたり、力を抜いた時にきちんと制動力として反映してくれたりする、繊細さも持ち合わせている。