南海トラフ地震臨時情報巡る全国調査で見えた避難の課題 津波想定の県内8市町、民間動向「把握していない」 防災計画には反映させるも多くは周知至らず
今年8月に初めて発表された南海トラフ地震臨時情報を巡り、交通機関や小売業など管内の民間事業者が営業するかどうか動向を事前に把握していた自治体は、津波被害が想定される鹿児島など14都県139市町村の9%にとどまることが7日、共同通信の調査で分かった。8月の臨時情報発表時は、特急列車の運行取りやめを地元自治体が知らないなどの混乱も発生。調査で、官民の連携不足が裏付けられた形となった。 【写真】鹿児島県内で最大震度5強を観測した8月の地震で、幅約30メートル、約50メートルにわたりのり面が崩壊した現場=志布志市志布志町帖
調査は10~12月、南海トラフ地震対策の特別措置法で津波避難対策特別強化地域に指定された市町村を対象に実施。全自治体の回答を得た。 鹿児島県内で南海トラフ地震対策の特措法で津波避難対策特別強化地域に指定されているのは西之表、志布志、大崎、東串良、南大隅、肝付、中種子、南種子の8市町。いずれも民間事業者の動向を事前に「把握していなかった」と回答した。臨時情報(巨大地震注意)では、社会経済活動を止めずに地震発生に注意するとしているため、各自治体は交通機関の運休などを想定しておらず、肝付町と志布志市は今後も「予定していない」と答えた。 臨時情報の発表を受け、8市町はいずれも情報連絡態勢を取り、防災無線などで避難経路や備えの再確認を呼びかけた。「イベントを開いても大丈夫か」などの問い合わせはあったが、混乱はなかったとしている。 8市町すべてが防災計画に南海トラフ地震への対応を反映させている。西之表市と中種子町は、防災訓練の際に南海トラフ地震について専門家が講話する機会があり、「住民に事前に説明する機会があった」と回答した。他の6市町は「周知する機会がなかった」と答えた。
南日本新聞 | 鹿児島