宮城野親方、白まわしで4時間半の熱血指導 伊勢ケ浜親方「45度優勝した横綱のスキルを伝えて」
大相撲の元幕内・北青鵬の暴力問題で、当面閉鎖となった宮城野部屋の力士らが転籍した伊勢ケ浜部屋は8日、東京・江東区の部屋で合流後初の稽古を報道陣に非公開で実施した。今月1日から部屋付きとなった宮城野親方(元横綱・白鵬)は自らの希望で稽古用の白まわしを締めて指導した。転籍に伴い、力士数は約40人と角界一の大所帯となり、稽古は約4時間半に及んだ。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は相乗効果に期待を寄せた。 宮城野親方が再出発への道を踏み出した。稽古は報道陣に非公開だったが、師匠の伊勢ケ浜親方によると、宮城野親方は志願して白まわし姿で稽古場に下り、指導にあたったという。稽古終了から約4時間後に部屋を出た同親方は「(まわしを締めたのは)久しぶりかな。頑張ります」と短い言葉で決意。今後も継続する考えを示した。 伊勢ケ浜親方は、宮城野親方がまわしの取り方や切り方などを教えていたと明かし、「45度優勝した横綱のスキルを力士たちに伝えてほしい。『しっかりやらなければいけない』という気持ちがあって指導していると思う。これからもそうしてほしい」と期待した。 転籍に伴い、力士数は角界一の大所帯の約40人となった。倍近く増えた人数に対応するため、普段より30分早い午前8時から稽古を始めたが、「ちょっと足りない」と師匠。角界トップ級の稽古量を誇り、昼過ぎまで行うことも珍しくないが、この日は約4時間半に及んだ。師匠が「みんな気合を入れてやっていた」と振り返れば、十両・宝富士も「活気ある稽古ができた。続ければ絶対に強くなる」とメリットを口にした。 稽古中には幕内・錦富士や宝富士らがスペースの関係から外の駐車場で筋トレに励む光景も見られた。また力士らの生活スペースは大部屋の他、稽古場の上がり座敷や地下のトレーニングルームなどフル活用。関係者によると、米を炊く量もこれまでより倍の6升ほどに増加したという。 伊勢ケ浜親方は旧宮城野部屋の力士らに対し、「まずは環境に慣れてもらって」と気遣った。弟子たちの交流を円滑にすべく伊勢ケ浜勢と分けることなく“部屋割り”も決めたという。師匠は「相乗効果でみんな強くなってくれれば」と願った。一方で、宮城野親方には「日本相撲協会や部屋のルールを守ってやるしかない。きちんと部屋持ちの親方としてやっていけるように」と出直しを求めた。 ◆部屋付き親方の主な役割 部屋の経営に携わるなど、いわば「監督役」の師匠に対し「コーチ役」を担う。基本的には自宅から通う形で、稽古では力士の指導や新弟子のスカウトの補佐などを行う。師匠不在の際には代理で稽古を監督する場合もある。
報知新聞社