石田ひかりさん、多様な色で魅せる「紅花染の着物」長女の成人のお祝いエピソードも
夏に可憐な黄色い花を咲かせる紅花。その紅の色は、古今東西人類を魅了してきました。誰もが愛してやまない、奥深い魅力を石田さんの着こなしで紹介します。
濃淡の紅色が美しい、縞の紅花紬
作者の山岸幸一氏自身が養蚕し、手引きした真綿糸を紅花で染め、経緯に用いた着物。経糸の一部に桜木で染めた糸を用いて、大胆な追分の縞を表現しています。濃淡の紅の美しさが際立ち、紅花紬の魅力が凝縮した作品です。同じ作者の格子模様の八寸帯を合わせました。 着物(赤崩草木染研究所 tel.0238-38-2878) 帯(銀座もとじ和織 tel.03-3538-7878) 着物、帯制作/山岸幸一 帯〆(龍工房 tel.03-3664-2031) 帯あげ(さんび[荒川]tel.075-341-2113)
独特の糸作りが表情を添える無地調子の着物
真綿の状態で紅花とログウッドで染めてから手引きした糸で織った着物。遠目には無地のように見えますが、2色の糸が混ざり合い、霞調に見えることで表情を添えています。紅花をモチーフに、花びらに紅花染の糸を用いた紬の袋帯を合わせて、紅花尽くしのコーディネートにしました。 着物と帯(よねざわ新田 tel.0238-23-7717) 帯〆と帯あげ(山﨑 tel.03-3669-5667) バッグ66,000円(神田胡蝶 tel.03-3253-1511)
優しい色合いに素朴なニュアンス。自然の色ならではの魅力を感じます
撮影を終えてのご感想をお聞きすると、「紅花からこんなにたくさんの色が生まれるんですね。まずそのことに驚きました」と声を弾ませておっしゃった石田ひかりさん。 「ピンク系だけでも濃い色から薄い色までさまざまですし、黄色があるというのも意外でした。どれも優しい色合いで、どこか素朴なニュアンスが感じられるのも、自然の色ならではの魅力だと感じます。着てみると、思いがけずきりっと格好いい印象になったり、やわらかい雰囲気に包まれたり、着物っていろいろな面があって奥深いとあらためて思いました」 私生活では、ご長女の成人のお祝いで着物をお召しになったそうです。 「成人式には出られませんでしたが、娘ふたりは振袖、私は訪問着を着て記念写真を撮りました。昔私が着た振袖を娘が受け継いで思い出が増えていくことも着物ならではの喜びですね」と素敵なエピソードを教えてくださいました。 いしだ・ひかり●1972年生まれ、東京都出身。86年に俳優デビュー。以降、映画・テレビ・舞台など幅広く活躍。近年の主な出演作に映画『わたし達はおとな』、Amazon Original『HOMESTAY(ホームステイ)』、ドラマ『きょうの猫村さん』、『ゼイチョー「払えない」にはワケがある』、舞台『ピエタ』などがある。 撮影=赤尾昌則(whiteSTOUT) ヘア&メイク=尾曲いずみ(ストーム) 着付け=小田桐はるみ 撮影協力=茶道会館 編集・文=棚町敦子(美しいキモノ編集部) 『美しいキモノ2024年春号』