「おかん、頑張るよー!」スタンドに何度も叫んだオリックス・宗佑磨…“母一人子一人”支えてくれた感謝の想いは「恥ずかしくないんで」
母への感謝や愛情を、ユーモアも交えつつストレートに表現できる。こんな息子さん素敵だな。 【画像】「おかん」の前では甘えん坊? お気に入りのプーさんのぬいぐるみを大事に抱えて…メガネ姿の宗佑磨18歳のあどけない貴重写真を見る オリックスの宗佑磨を見ているとそう感じずにはいられない。
チームメイトが口々に「おかん!」
京セラドーム大阪で行われた4月10日の楽天戦前の円陣でのこと。声出し役に指名された宗がこう切り出した。 「今日はですね、おかん来てるんで」 チームメイトが口々に「おかん!」と合いの手を入れる。 宗は「おかん頑張るよー!」とスタンドに向かって笑顔で手を振り、「見てないけどね」と自ら突っ込む。 この様子が球団の公式SNSで発信されると、「素敵な息子さん」「おかんに手を振れる宗さんカッコイイ」といったメッセージが寄せられた。
「恥ずかしくないんで」
翌日の練習後、宗を呼び止めると、「バックネット裏の、あのあたりに座っていました」と指差して教えてくれた。 「サードを守ってる時にめっちゃ視界に入 っていました。『うわ、あそこにいるー』って(笑)」 “おかん”と連呼した声出しについて聞くと、熱く語った。 「恥ずかしくないんで、そういうの。(恥ずかしいと思うのは)日本がおかしいんですよ。僕はそういう教育されてないんで。母のことババアとか、そんなん僕、思ったことはありますけど、言ったことない。言ったらまずキレられていたと思うし(笑)。周りにもそういう友達はいなかったですし」 宗と母の関係は「独特だと思います」と言う。 「だって、母子家庭だし、一人っ子だし、ハーフだし。いろいろ重なって、兄弟のようなところもある。母親であり、父親のようで、兄弟のようで。そんな関係なんです」
女手一つで育てた母へ
宗は日本人の母とギニア人の父の間に生まれ、物心ついた頃には母一人子一人の生活だった。子供の頃は母の実家がある大阪で暮らした時期もあったが、その後、関東に引っ越し、野球を始めた。高い身体能力を備えていた少年は、横浜隼人高校時代に開花し、高校3年だった2014年の秋、ドラフト2位でオリックスに指名された。 三塁手として2021年から3年連続でゴールデン・グラブ賞とベストナインを獲得している名手だが、プロ入り後、順調に芽が出たわけではなかった。最初は主にショートで出場していたが、一軍に定着することはできず、外野にコンバートされた。 ただ、外野手になってからも「たまにゴロが捕りたくて」内野ノックに混ざっていた。その時は気楽な気持ちで、ショートの時には使わないようにしていた逆シングルも 解禁し、柔らかいハンドリングで軽やかにさばいた。その姿が、当時二軍監督だった中嶋聡の目に留まった。