北海道内学校、エアコン設置進まず 「簡易型」の活用法探る
道内の公立学校の普通教室に設置するエアコン(簡易型を除く)の整備率について、7月末で道立は0.8%、市町村立は19.1%にとどまることが、道教委への取材で分かった。昨夏の猛暑を受けて多くの市町村教委が設置を急いでいるが、業者の人手不足などで工事完了までに数年かかる地域もある。大半の教室は移動式や窓枠はめ込み式の「簡易型」で今夏の暑さをしのぐしかなく、道教委は窓の遮熱や冷却グッズの活用も学校に呼び掛けている。 【動画】函館競馬場だけの魅力発掘 名湯やトレセン並み調教コースも 「ここ数年で官公庁や店舗などでエアコンの需要が一気に高まった。先着順で工事をしており、学校だけを優先するのは難しい」。旭川市で空調設備業を営む外崎裕二さん(51)はそう実情を語る。 同市では昨年12月、今津寛介市長が「できる限り3年以内に、全ての普通教室や保健室などにエアコンを設置する」との方針を発表した。しかし、業者から「一気に進めるのは厳しい」との声が上がり、同市は今年2月、設置完了時期が27年度までかかる見通しを示した。 エアコンの設置には室外機の取り付けなど専門的な工事が必要だ。外崎さんは「学校での工事は、音が大きいので夜間や休日しかできない上、道内で空調設備を扱う知識と経験がある職人は限られている」と話す。 道教委によると、道立の高校や特別支援学校の普通教室3474室のうち、7月末の冷房整備率は、効果が限られる簡易型で100%となる見通しだが、エアコンは昨年度末時点と変わらず0.8%(28室)にとどまる。 市町村立の小中高校や特別支援学校の普通教室1万7528室は、昨年度末時点の冷房整備率が41.2%(7217室)だったが、7月末までに78.7%(1万3802室)まで引き上げられる見込み。ただ、大半が簡易型で、エアコンは19.1%(3351室)にとどまる。 道内で学校数が最も多い札幌市では、本年度当初予算で市内の小中学校など約300校のうち約100校を対象にエアコンの整備費として約12億円を計上したが、全ての教室にエアコンが設置されるのは27年度の予定だ。