８回無死三塁、大城卓の犠飛で貴重な追加点が入り、ベンチで手をたたいて喜ぶ阿部監督（左から２人目＝カメラ・中島　傑）

◆ＪＥＲＡ　セ・リーグ　巨人３―１中日（２７日・東京ドーム） 　巨人が中日に競り勝ち、リーグ優勝へ王手をかけた。両軍無得点の６回に岡本和真内野手（２８）が通算１０００安打目となる先制打。自己最多を更新する今季２０度目の勝利打点を挙げ、連勝に導いた。２位・阪神が敗れ、優勝マジックはついに「１」。２８日の広島戦（マツダ）で勝つか引き分け、または敗れた場合も阪神が負ければ、巨人の４年ぶり４８度目（１リーグ時代を含む）のリーグ制覇が決まる。就任１年目の阿部慎之助監督（４５）の胴上げまで、あと一歩だ。 【動画】阿部監督が井上温大とキャッチボール 　熱い思いが激しいジェスチャーにつながった。阿部監督は胸を強くたたき、打席の浅野に向かって「気持ちだ！」と叫んだ。６回、岡本和の適時打で先制してなお１死満塁。７番で２試合ぶりにスタメン起用した１９歳を鼓舞すると、フルカウントから梅津の低め速球を見極めて押し出し四球。貴重な２点目に「ヨーシッ！」と思い切り手をたたいて喜んだ。一塁ベンチの先頭で感情をむき出しにした。 　優勝マジック３で迎えた一戦。「自分たちでとにかく勝っていくだけなので」と自力で白星をつかむことだけに集中した。２回にはベンチ内で先発・井上のもとに足を運んだ。「配球だったり、経験したことを教えていた」と積極的に動いて助言した。５回９４球無失点と力投した左腕に「序盤コントロールに苦しんで球数いっちゃったけど、試合をつくってくれたので１００点です」と満点を与えた。 　３回の攻撃前には浅野も呼んで声をかけた。「序盤、梅津くんがスライダーが１球もストライク入っていなくて（２回の）あの打席、スライダー待ってたっていうから。大丈夫かなって。スライダーを操れている投手でスライダーを待っているならいいけど、ど真ん中の真っすぐ２球見逃して。いい度胸してるのか、観察不足なのか僕には分からなかったので呼びました」。鉄は熱いうちに打て。試合後ではなく試合中に打席での待ち方を確認したことで６回の押し出し四球につながった。 　勝利への執念を前面に出した采配のクライマックスは８回。２―０の２死からバルドナードが村松に四球を与え、福永の安打で一、三塁のピンチを招くと、大勢への交代を告げた。「バルドナードの四球が一番イラッとしたんだけど。別にホームラン打たれてもいい場面だし、あそこで四球を出しているようじゃね。ちょっと、今日一杯飲んで考えようかなと思います」。守護神の今季２度目のイニングまたぎ。１点は失ったが勝負手で逃げ切った。 　試合終了から約５０分後、マツダで阪神が広島にサヨナラ負け。阪神と３差に広がった。残り３試合、１４０試合目でついに優勝マジックが１となり４年ぶりリーグ優勝に王手をかけた。「もう他のチームは関係ないのでね」。２８日の広島戦（マツダ）に勝てば歓喜のセ・リーグ制覇だ。広島の夜空に背番号８３が胴上げで宙に舞う。もうゴールだけを見て突き進むのみ。舞台は整った。（片岡　優帆）