細胞積み上げ臓器作るバイオベンチャー「独自技術」の正体
秋枝静香(あきえだ・しずか/明治大学農学部農芸化学科卒業。九州大学大学院を経て、九州大学で遺伝子解析・再生医療分野の研究者として従事したのち、九州大学病院にて骨軟骨再生の事業化に従事。2010年のサイフューズ創業メンバーの1人として入社。2016年当社取締役、2018年から現職(写真:記者撮影)
2022年12月1日、東京証券取引所グロース市場にサイフューズ(4892)が上場した。3Dプリンターを用い、立体的な臓器の再生に挑んでいるのが特徴だ。サイフューズの秋枝静香社長に、ビジネスモデルや成長戦略を聞いた。 ――再生医療で臓器の再生に携わろうと思った、きっかけを教えてください。 私はもともと大学では有機合成、化学を専攻していた。ただ、化学の研究で新しい化合物を作っても、例えば目薬の製剤の成分の一滴にしかならない。こうした研究も大事だが、より医療現場に近いところに行きたいと思い、大学院で遺伝子について学んだあと、骨肉腫の研究をした。 骨肉腫は足の骨に発生することが多いがんで、治療の過程で足を切断する患者さんも多い。その様子を見て「失った身体を何とかできないだろうか」と感じ、九州大学医学部整形外科の研究室に所属した。 そこで中山功一教授(サイフューズ創業メンバー)の軟骨再生の研究を手伝うようになったことが、会社立ち上げのきっかけだ。会社立ち上げ前から、20年近くにわたって研究に携わっている。
本文:2,880文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
兵頭 輝夏