<錬磨の22年>京都国際・センバツへ/下 単打でつなぎ勝利へ 貴重なパワーヒッター /京都
京都国際は単打などを重ね、得点へとつなげるのが勝利のパターンだ。2020年秋の府大会と近畿大会計9試合でチーム打率は3割1分5厘と決して低くない一方、長打率は4割8厘と近畿地区でセンバツ出場を決めた6校中、下から2番目にとどまる。小牧憲継監督も「うちでは、長距離バッターは貴重な存在だ」と明かす。 その貴重な存在が、4番打者を任される中川勇斗捕手(2年)。20年秋の計9試合で記録した打率は4割7厘と、小牧監督も「(20年にオリックスに育成4位で指名された)釣(寿生選手)よりも飛ばす」と評価するパワーヒッターだ。加えて四死球はチーム最多の10と選球眼も光り、中川捕手も「甲子園では好機で1本出せるような力強い打撃を見せたい」と意気込む。 守備面でも、投手陣をリードするチームの要だ。20年はコロナ禍で練習試合が少なく、他チームの情報も入りにくかったが「中川は試合前の練習やゲームの中で相手をしっかりと分析していた」(小牧監督)。持ち前の野球勘の鋭さや、打者の特徴を見抜く観察力はチームの強みだ。 長距離砲として小牧監督がもう一人、期待するのが武田侑大選手(1年)。広角に球を打ち返す技術があり、打ち損じが少ないのが特徴だ。20年秋の府大会と近畿大会は足を痛め、ベンチ入りできなかったが、20年11月にあった練習試合では本塁打を放ち、周囲に長打力を印象付けた。 「ダブルエース」としてマウンドに上がる森下瑠大(りゅうだい)、平野順大(じゅんた)両投手(1年)は、打撃面でもチーム1、2位の打率を誇る。大阪桐蔭と戦った20年秋の近畿大会準決勝では、森下投手は先制の2点を挙げる二塁打、平野投手は2本の二塁打を含む3安打を放った。 他にも、20年秋は左翼手だった秋山海聖選手(1年)は四死球10と中川捕手に並ぶほど、出塁することへの気持ちが強い。粘り強く四球を選んで出塁し、チームの得点に貢献してきた。 0―34で大敗を喫した、1999年7月の初の公式戦から22年。今のチームは逆に、2桁得点も珍しくないほど得点力を磨いてきている。3月19日に開幕するセンバツで、聖地の銀傘に快音を響かせる時を夢見て、ナインたちは今日も「練磨」に余念が無い。【中島怜子】 〔京都版〕