ライブ配信で年間売上1億8千万元、小さな盆栽が生む大きなビジネス
【東方新報】秋冬シーズンに入り、中国では盆栽の販売がピークを迎えている。従来の大型盆栽に比べ、サイズが小さく、盆栽文化の「小さな中に大きな景観を表現する」という芸術性が際立つ小さなミニ盆栽が人気を集め、需要がどんどん増えている。 湖北省(Hubei)京山市(Jingshan)の孫橋鎮は、「対節白蜡」という希少な盆栽の産地として知られている。ここには約1万人の村民が従事し、大中小合わせて1200万本の「対節白蜡」が育てられている。苗の育成から、園芸、工芸品加工に至るまで、対節白蜡を中心にした産業が発展しており、地域の経済に大きく貢献している。 この地域が盆栽産業を育てられたのは、ここならではの豊かな自然資源があるからだ。「対節白蜡」は湖北京山にしかない貴重な樹木で、木材は硬く、しなやかで剪定や造形に適しており、「生きた植物の化石」や「盆栽の王」と称されるほどだ。 章威(Zhang Wei)さんは、地元の盆栽産業が盛り上がるのを見て、北京市での仕事を辞め、地元に戻って父親から盆栽作りを学びつつ、新しい市場であるミニ盆栽に目を向けた。豊富な資源があり、父親の技術もあったため、章威さんはインターネットを使ったライブ配信を通じてすぐに小さな盆栽ビジネスを軌道に乗せた。 地元の若者たちは、祖先から受け継いだ技術を駆使しながら、インターネットで全国に盆栽を販売している。たとえば、馬阿敏(Ma Aming)さん夫妻は毎日3時間ライブ配信を行い、約1500元(約3万2297円)の売上を上げている。顧客は北は黒竜江省(Heilongjiang)、吉林省(Jilin)、遼寧省(Liaoning)、南は雲南省(Yunnan)、広東省(Guangdong)、福建省(Fujian)にまで広がっている。 2023年、湖北京山では「対節白蜡」の盆栽をライブ配信で販売するチームが100以上に達し、300人以上の配信者が活躍しており、その年間売上は1億8000万元(約38億7572万円)にのぼっている。 現在、湖北京山市の孫橋鎮には「対節白蜡」の高級園区が390か所、育苗基地が800か所以上設立され、約2万人が雇用されており、1人当たりの年間収入は3.5万元(約75万3613円)増えている。 小さな盆栽が地元の「緑の富」となり、地域の人びとは自然の恵みと伝統の技術を活かして、豊かな生活を築いている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。