日本人駐在員にやさしいベトナム・ホーチミンの夜 タイよりも安価、ガールズバーの女性たちは日本語が堪能
【カワノアユミの盛り場より愛を込めて】 円安や世界的な物価上昇により海外の日系企業の撤退が相次いでいる。筆者がいま訪れているタイでも日本人駐在員は激減しており、こちらの日本人街の夜の店では中国人や韓国人の客が増えている。10年ほど前までの日本人駐在員たちが、タイの夜の街で元気に遊んでいた時代を知る身からすると、隔世の感がある。 【写真】ベトナム南部ホーチミン 日本人男性が刺殺された さて、先日はちょっとタイを離れて、ベトナムのホーチミンを訪ねてきた。市内の日本人街は「レタントン」と呼ばれる通りにあり、日系居酒屋のほか、日本のキャバクラにあたるカラオケやラウンジ、ガールズバーなど、ナイトライフが一通りそろっている。タイにある日本人街と比べても、ホーチミンの方が明らかに日本人駐在員の姿を多く見かけた。こちらの駐在員はタイの駐在員と比べてまだ羽振りがいいのだろうか? 現地在住の日本人に話を聞いた。 「レタントンは夜の店もタイに比べて価格が安いんです。約15年前の(タイの)バンコクのような感じで、日本人駐在員もまだ羽を伸ばせるんじゃないでしょうか」 確かにレタントン通りは日本食店もバンコクに比べてかなり安価だ。ベトナムもタイも酒税が高く、物価高とも相まって、最近はバンコクで日本の高級ウイスキーを頼むと一杯2000~3000円かかるが、レタントンではその半額の1000円程度で収まる。 「それと、レタントンには女性スタッフがカウンター越しに接客するガールズバーが多いんです。カラオケやラウンジはぼったくりが多いとも言われて駐在員も敬遠していますが、ガールズバーは安心して飲めるので人気があるんでしょう」 タイのガールズバーは〝連れ出し〟が可能だが女性キャストは日本語をほとんど話せない。一方、ホーチミンのガールズバーでは女性たちは日本語が堪能で、駐在員らも会話を楽しんでいる。 かつて筆者が働いていた首都ハノイのガールズバーでも、日本語を話せるベトナム人女性が何人も在籍していた。ベトナムでは2016年から、英語に次ぐ第2外国語として小学校での日本語教育がハノイやホーチミンから始まり、その後も実施する地域や小学校が増えている。来日するベトナム人技能実習生の数と日本語の教育熱は相関関係にあると言っていい。 筆者もアジアのさまざまな国の日本人キャバクラやガールズバーで働いてきたが、最も客入りが良かったのはハノイだった。物価の安さ以上に、一生懸命に日本語を話す勉強熱心なベトナム人女性には、駐在員たちの財布のひもも、つい緩んでしまうのかもしれない。
■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。