「RSターボは良く壊れた」改造が禁止されたグループAの規定では、DR30スカイラインは不利だった|スペシャルインタビュー 長谷見 昌弘
【スペシャルインタビュー 長谷見 昌弘】 JTC(全日本ツーリングカー選手権)には、創設初年の1985年から最終年の93年まで、9シーズン全58戦中の54戦に参加。「天才・長谷見」の名にふさわしく、通算10勝、シリーズタイトル3回(89/91/92年)の戦績を残した長谷見昌弘。この間の車両は、スカイラインRSターボ(DR30、85~87年、0勝)、スカイラインGTS-R(HR31、88~89年、3勝)、スカイラインGT-R(BNR32、90~93年、7勝)。3世代のスカイラインで戦ったのだった。 【画像6枚】市販車としては高度なメカニズムをもつRS。レーシングユースには向かなかった 「RSターボはよく壊れた。それに車体剛性もまったく足らなかった。生産車の段階でグループA対策が施されていない車種でしたから無理もないですが、フォード・シエラと戦うどころではなかったですね。GTS-Rも基本的にはRSターボと同じで、やはり設計段階でグループA対策はとられませんでしたから、車体関係はダメでした。 ただ、大型タービンや大容量インタークーラーを備えたことでパワーは向上。その分、シエラとの差は詰まりましたが、逆に中速以下のトルクがなくなり、ピーキーな特性となりました」 市販車としては高度なメカニズムを持つRSターボだったが、基本設計でレーシングユースは考慮されていなかった。これは改造を禁じ、生産車のメカニズム、構造で戦うことを基本としたグループA規定では不利なことだった。この点は次期モデルのR31も同じで、GTS-Rは対策可能な部分にだけ手を加えたモデルだった。 初出:ハチマルヒーロー2017年1月号 vol.39 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部