これは猫? 犬? それとも…野生動物うっかり保護すると逆に危険、注意喚起に「これは見分けるの無理」
■実際に野生動物に遭遇したらどうしよう…?そのままそっとしておいた方が良い場合も
――たぬき以外にも、誤認保護されがちな動物はいますか? 「イタチやテンは民家の屋根裏に巣を作り出産することがあり、遭遇する確率も高いです。キツネやアナグマの赤ちゃんも、子犬と間違われやすいので注意が必要です」 ――野生動物に遭遇した時にやってしまいがちなことや、これまでにあったトラブルなどはありますか? 「追いかけたり、近づきすぎないようにし、安全な距離を保つことが大切です。また、野生動物に人間の食べ物を与えることは、彼らの行動を変えたり、病気を拡散したりする可能性がありますのでエサを与えない様にして下さい」 ――誤って誤認保護してしまったり、野生動物に遭遇してしまったら、どのような行動を取ればよいのでしょうか。 「傷ついた野生鳥獣を見つけた場合は、野生動物の生態系を守るため、そのままそっとしておいた方が良い場合もあります。もし、誤認保護してしまった場合は地元の動物管理機関、または獣医師に相談してください。許可なく野鳥鳥獣を捕まえたり飼うことは法律で禁止されています」 ――たぬきを飼いたいと思う人に考えてほしいことや心構えを教えてください。 「たぬきを愛玩犬のような感覚で飼育できるのは、生後半年程度の時期まで。その頃を過ぎ性成熟すると、犬とは異なる野生動物独自の本能や習性が強く出てきます。飼育環境が適さなければ、ストレスにより自らの尾を噛みちぎる等の自傷行為をしてしまうことさえあります。大変臆病な性格ゆえ、ささいな気配や匂いに敏感で、突然何かに驚きパニックになると飼い主にさえ見境なく攻撃してくる危険性もあります。たぬきの習性をよく理解していなければ事故や大怪我にもなりかねません」 ――たぬきは犬のようにしつけなどは難しいのでしょうか。 「たぬきはとても臆病で警戒心の強い動物ですので、大きな声を出したり、叱る、叩くなどの行為は、攻撃されたという認識を持たせてしまいやすくなります。さらに攻撃的になったり、信頼関係を損ねる原因となり得ます。 動物の習性を利用したトレーニングは可能ですが、犬のような服従心はありません。野生動物ですので本能的な行動をとるため、人が都合よくしつけたり抑止することは難しいです。例えばたぬきはタメ糞をする習性がありますので、トイレは同じ場所でしてくれますが、縄張りを主張するため至る所にオシッコをかけマーキングをする行為は止めることはできません。よく私は足や背中の上でマーキングされてしまいますが、愛情表現だと思って受け止めるようにしています(笑)」