CMEに挑む新興FMX、出資企業一覧にウォール街大手ずらり
(ブルームバーグ): 米金融サービス大手キャンター・フィッツジェラルドのハワード・ラトニック会長兼最高経営責任者(CEO)は、CMEグループという先物・金利デリバティブ取引の巨人に対し、ウォール街屈指の大手から支援を取り付けて新たな挑戦を仕掛けようとしている。
新たな先物取引所の創設を準備するラトニック氏の挑戦を、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とバークレイズ、シタデル・セキュリティーズ、シティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、ジャンプ・トレーディングが支援した。これらの企業は合計1億7200万ドル(約270億円)を投じて、FMXの株式25.75%を取得。取引量が一定の水準を満たせば、取得株は増える取り決めになっている。FMXはキャンターが2004年に分離したブローカレッジ事業BGCグループの傘下に置かれ、ラトニック氏が責任者を担う。
金融大手の名前を出資企業リストに並べることで、創設する前からFMXの価値を創造したいとラトニック氏は語った。6億6700万ドルと評価されているFMXには、モルガン・スタンレーとタワー・リサーチ・キャピタル、ウェルズ・ファーゴも少数株主として名を連ねている。
先物および金利デリバティブ取引は長年、シカゴに本社を置くCMEが支配してきた。価格変動や連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対するヘッジとしても、CMEでの取引は利用される。先物取引業協会(FIA)のデータによれば、2023年に米国の取引所で行われた金利先物取引のうち、CMEによる取り扱いは99%を超えた。社債先物はシカゴ・オプション取引所(CBOE)グローバル・マーケッツが取引の場を提供。インターコンチネンタル取引所(ICE)も独自の先物プロダクツを展開している。
ラトニック氏のFMXフューチャーズはまず、短期金利のベンチマークである担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動する先物を上場し、次に米国債利回りの取引を開始する計画だ。ローンチは9月を予定している。FMXでの取引は、CMEと完全に直接競合することになる。政策金利の見通しやインフレ、地政学的緊張を巡る不透明感で、CMEでの取引は記録的な規模に膨らんでいる。