全米舞台は「緊張」から「楽しみ」へ 日本メンバーとして帰ってきた河本結が感じる4年前との“変化”
<全米女子オープン 事前情報◇29日◇ランカスターCC(ペンシルベニア州)◇6583ヤード・パー70> 笑顔でこちらに手を振る河本結【写真】 日本での予選会を勝ち抜き、2度目の全米舞台に挑む河本結は、前回出場した2020年とは違う気持ちでコースと向き合っている。「めっちゃ楽しみです」。そう言って、自然と笑みもこぼれる。 21年まで約1年半を戦った米国でのひさしぶりの試合。「選手やキャディさんたちが、『ユイ、おかえり!』って言ってくれてめっちゃうれしかった。帰ってきたという感情になりますね」。その言葉や光景が、さらにモチベーションを高めてくれる。 前回は、米ツアーメンバーのひとりとしてこの舞台に出場。そのときは、ポイント争いなど、米国で生き抜くことばかり考えていた。「予選を通りたいとか、いいスコアで回りたいとか緊張して迎えていました。負けたくないという思いもあった」。余裕がなかったことを思い出す。しかし今の心境は「挑戦する立場だから、楽しみ」。開幕を待ちわびることができている。 こうなるとコースの見え方も変わってくる。もちろん「全米といえば“畳一畳分”のところにキャリーしていかないときつい」という難しさは感じる。ただ「“ここさえ押さえておけば”とか、すごくクリア。あとはそこに自分がどれだけ打てるか」など準備段階からプレーをイメージすることもできている。「グリーンの傾斜が強いうえに硬くて速い。落としどころを間違えると、手前なら2~30ヤード戻される」。こういったポイントを警戒しながら、歩みを進めていく。 対策のひとつとして、ローバンスのウェッジも携えてきた。それは「薄いラフのときはハイバンスだと、下に当たったりして止まらないけど、新しいウェッジはしっかりと止まる。グリーン周りのラフに入ったときもしっかり打っていけます」と強い味方になりそうだ。そしてこのあたりは、経験がしっかり生きている部分ともいえる。 今回の渡米では、出国時の飛行機が遅れたことで乗り継ぎにも影響が出て、現地入りが予定からずれこむというトラブルもあった。当初は28日(火)の朝からコースに入る予定を立てていたが、昼前からの練習になり、計画に狂いも生じている。 だが「受付の人に『一番最後に入った選手だ』って言われました(笑)」と軽く笑い飛ばせる。それは事前にコースを動画でチャックするなどし、日本にいるときから“準備”を進めてきたから。「飛行機が遅れることも想定していた。18ホール見ることができればいいと思ってました」。ちょっとのことでは動じなくもなった。 弟の力(りき)も予選会から、6月13日開幕の「全米オープン」(ノースカロライナ州、パインハースト・リゾート)の出場権を得ている。今年はきょうだいそろって全米タイトルに挑むことができる。「弟のほうが心配(笑)。距離もあるし、アメリカで試合することもなかなかない。PGAツアーの選手にまじって、空気感や難しいセッティングを肌で感じてくれればいいな」。この話題について振られたときは、“お姉ちゃん”としての表情を見せる。 肩に力が入っていた前回は、4日間を戦い抜き60位という結果だった。今回は「結果や周りのスコア、環境に左右されず目の前の一打に全力集中して、それを4日間続ければいいのかなと思います」ということを大事に、難コースとの勝負を心ゆくまで“楽しむ”つもりだ。(文・間宮輝憲)