アーティスト、NOAが実感した『ウィッシュ』に込められた楽曲の力!「ディズニーの音楽にはマジックみたいな魅力がある」
ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念し製作されたミュージカル映画『ウィッシュ』(公開中)。公開3日間で興行収入6億円超えという好調なスタートを切り、12月25日時点で12億円を突破した。まるで“隠れミッキー”のように作中にちりばめられた過去作品へのオマージュの数々、“願いの力”をテーマにした力強くも感動的なストーリーは、ディズニーを愛するすべての人々の胸を打ち、すでにSNSを中心に絶賛の声が多く寄せられている。また、ポップミュージック界のヒットメイカーであるジュリア・マイケルズが楽曲制作を手掛けたことも大きな話題に。MOVIE WALKER PRESSでは、大のディズニー好きを公言し、ディズニー・チャンネルのアニメシリーズ「ハムスターとグレーテル」のテーマソングもカバーした国内外で活躍するアーティスト、NOAにインタビュー。幼いころからディズニー作品に慣れ親しんできたNOAが、『ウィッシュ』のストーリーや楽曲の魅力、そして大好きなディズニーについて愛情たっぷりに語ってくれた。 【写真を見る】NOAが“願い星”に手を伸ばす、『ウィッシュ』のワンシーンを再現!? どんな“願い”も叶うロサス王国で暮らす17歳のアーシャの願いは、100歳になる祖父の願いを叶えること。しかしある日、すべての願いは魔法を操るマグニフィコ王に支配されているという真実を知ってしまう。失意に暮れる彼女のもとに舞い降りてきたのは、魔法の力を持った願い星“スター”。アーシャはスターと仲間たちと共に、みんなの願いを取り戻すべく、マグニフィコ王へ立ち向かっていく。本作を鑑賞したばかりのNOAに感想を聞くと、「いやもう、本当によかったです。よかったとしか言いようがない!」と、パッと目を輝かせた。 ■「ディズニー映画のいろいろな要素が詰まっているのも最高でした」 「僕自身いつも願い事をしていますし、目標に向かって走っているので、作品の中に大切なことが詰まっていたというか、学ぶことがたくさんあってすごくすてきな映画だなと思いました。いままでディズニー映画をたくさん観てきているんですけど、これまでの作品のいろいろな要素が詰まっているのも最高でしたね。植物が喋りだすシーンとかも、どこか懐かしさを感じましたし。でも、いまの時代だからこそできるような新しい要素もあったりして。エンドクレジットでは、エンドソングの『かけがえのない願い』を聴きながら、作品と自分を重ねてしまって、もうずっと泣いていました(笑)。いろんなことを思い出しましたし、これからも頑張っていこうと思えるきっかけをくださった作品だったなと思います」。 ■「ネガティブになる時もあるので、マグニフィコ王に共感できてしまう部分もありました」 強力な魔法の力を持つマグニフィコ王に果敢に立ち向かっていくアーシャについては、「とにかく勇敢でかっこいい!」と語る。「大勢の人たちの願いを背負って、いろんなことに立ち向かって挑戦していく姿はかっこいいですよね。(US版声優の)アリアナ・デボーズの歌声もすてきでした。みんなに自分の想いを伝えようとするところは学ぶ部分があったし、勇気をもらえました」。 そんなアーシャを魔法の力でねじ伏せようとするのが、 “ディズニー史上最恐のヴィラン”と言われるマグニフィコ王だ。「僕も普段生活しているなかでネガティブになる時があるのですが、そういった意味で、ちょっと自分と重なるというか、マグニフィコ王に共感できてしまう部分もありました。もちろんヴィランだし、『なんでそんなことするんだろう?』と思いながら観ていたんですけど、いままでのヴィランとはまた違ったタイプですごく魅力的なキャラだなって。彼も彼で、大変な過去があったからこそああいう思想になってしまったというか。アーシャとはまた違う魅力がありますよね。あと、自画自賛するだけあって、確かにイケメンだなって(笑)。アピールがすごいので、『どれだけイケメンって言われたいんだろう?』って思っておもしろかったです」。 ■「『誰もがスター!』は特に亀さんの歌が上手すぎ」 ディズニー作品の魅力の一つと言えば、いつまでも心に残る名曲の数々。本作も例に漏れず、マイケルズが手掛けた楽曲たちが物語を美しく壮大に彩っている。特に印象に残った楽曲を聴くと、「うわあ、難しいですね。全部よかったからな」と頭を抱えた。 「『誰もがスター!』は動物たちがそれぞれ違う歌い方をしていて印象に残っています。特に亀さんの歌が上手すぎて、『うまっ!かっこいい!』って思いながら観ていましたね。すごくハッピーになれる曲だし、ディズニーならではの雰囲気と世界観が可愛くて好きな一曲です。とにかくもう、亀さんの歌が上手すぎてそれが一番の衝撃でした(笑)」。 ■「マグニフィコ王に対して、アーシャと仲間たちが歌で挑んでいく姿がすごくかっこよかった」 物語の序盤、アーシャの強い願いが“スター”に届き、奇跡を起こすシーンで歌われる「ウィッシュ~この願い~」は、力強い歌詞とドラマティックなメロディラインが胸を打つ一曲だ。終盤で、この曲は別のバージョンとなって登場するのだが、NOAは、「最初はアーシャが一人で歌っていたこの曲が、よりパワフルな楽曲になっていくところがすごく感動的でした」と振り返った。 「より曲に込められたメッセージがグッと入ってきて、鳥肌が立ちました。僕もアーティストになるまでに、それこそ屋上で星を見ながらいろんなことを考えたりしていたので、歌詞を見ながら昔の自分を振り返ったりもしました。当時の自分にも、いまの自分にも響くし、共感できるところがたくさんある歌詞で、聴いていてすごく感動しましたね」。 ■「バレンティノもちゃんと右足から前に踏みだしていたのがめちゃめちゃ可愛かったです」 さらに、アーシャの“いまから向かっていくぞ!”という気持ちが特に伝わった楽曲は、「真実を掲げ」だと続ける。「曲に合わせてみんなで一緒に行進していく感じで、仲間たちと同じところに向かっていくという気持ちがすごく見えてくる曲でした。みんなの影が右方向に向かっていくシーンがあったと思うんですけど、子ヤギのバレンティノもちゃんと右足から前に踏みだしていたのがめちゃめちゃ可愛かったです(笑)」。 ■「ヴィランならではの怖さや魅力を感じられた一曲でした」 マグニフィコ王が“願いの力”により魔力を増幅させ、最恐のヴィランへと変貌していく様を歌う「無礼者たちへ」は、彼の怒りの感情をポップなサウンドに乗せた魅力あふれる一曲だ。 「マグニフィコ王の歌う『無礼者たちへ』は前後の楽曲とはまた全然違う雰囲気で、歴代のヴィランたちを思い出しました。マグニフィコ王は最初、ヴィランだけど怖くないなという印象だったんですけど、あのシーンは怖いというか“やってくるぞ感”がすごくありました。ヴィランならではの怖さや魅力を感じられた一曲でしたね。でも、ただ怖いだけじゃなく、リズミカルだからこそ圧倒される感じもあって、聴いていて楽しかったです」。 ■「ジュリア・マイケルズの楽曲も歌声も、ディズニーの世界観と美しく交わっていてかっこいいなと思いました」 本作の楽曲制作により、ディズニー長編作品の楽曲を手掛けた史上最年少アーティストとなったマイケルズ。NOAは以前から彼女の曲を聴いており、『ウィッシュ』の楽曲を制作すると知ってすごく楽しみにしていたそうだ。「僕が聴いていた彼女の曲はポップっぽいものが多かったので、今回のディズニーとコラボした楽曲を聴いて『こういう曲もできるんだ!』という驚きが大きかったです。彼女の楽曲も歌声も、ディズニーの世界観と美しく交わっていてかっこいいなと思いました」と魅力を語った。エンドソング『かけがえのない願い』は彼女自身が歌っているが、感想を聞くと「…僕はもう、エンドクレジットの間ずっと泣いちゃっていたので(笑)」と、照れ笑い。 「でもそれぐらい心が動かされるすてきな曲でした。歌詞もすごくよかったです。エンドソングってその作品を締めくくる曲だと思うんですけど、最高の締めくくりだったと思います。あと、曲と共にエンドロールでこれまでのディズニー作品のキャラクターがたくさん出てくるじゃないですか。あれは本当にやばかった!あれはちょっともう、本当にずるいです(笑)!映像を観ながら小さいころのことやこれまでのいろんなことが思い出されて、もう、涙腺がダメでした」。 ■「ディズニー音楽は、曲を聴いた瞬間に当時のすてきな思い出をふわっと香りまで思い出せる」 幼いころからディズニー作品と共に歩んできたNOAは、「ディズニーの楽曲は、時には楽しませてくれて、でも時には大事なことを気づかせてくれる、すごく助けてくれる存在なんです」と、ディズニー楽曲への想いや魅力についてもたっぷりと話してくれた。 「僕は小さいころから映像と共にたくさんのディズニー音楽を聴いているので、曲を聴いた瞬間に当時のすてきな思い出をふわっと香りまで思い出せるんです。ディズニーの音楽には、そういうマジックみたいな魅力があると思っています。これって唯一、ディズニーだからこそできることなんじゃないかなって。あと、最近感じるのは、大人になって改めて聴くと歌詞の伝わり方や、解釈が変わってくるというか。その時の自分の年齢によって、受け取り方や感じ方が変わってくるのも不思議ですね。最近だと『ピノキオ』や『ピーター・パン』を観返したんですけど、子どものころと受け取り方が全然違ったんです。きっと10年後や20年後に観たらまた変わるんだろうなって、いまからすごく楽しみです。だからこそ、ディズニー作品って何回も観られるんじゃないかなと思います」。 ■「『トイ・ストーリー』の続編が出るたびに、アンディと一緒に歳を重ねていっている感覚」 ディズニーで好きなキャラクターや作品については、「キャラクターだとミッキーマウスがずっと僕の中で一番です。あ、でもプルートとちょっと争っているかな?」と、茶目っ気たっぷりな笑顔を見せた。 「一番好きな作品は…そうですね。これずっと考えているんですけど、本当にどれも大好きで選べないんですよね。うーん…(ちょっと悩んで)。『トイ・ストーリー』かな。続編が出るたびに、アンディと一緒に歳を重ねていっている感覚なんです。小さいころからもう何回も観ているから、作品に影響されて、おもちゃとかぬいぐるみも捨てられなくていまだにずっと持っています。それこそ2~3歳のころに買ってもらったミッキーとプルートのぬいぐるみも、まだ家にあるんですよ。小さい時はぬいぐるみを頭の周りにおいて寝るのが好きだったみたいです(笑)。彼らはいまだにちゃんと家で保管していますね。なにがあっても、絶対に誰にも渡さないって決めているんです」。 ■「ディズニーが好きすぎて、パーク内で流れている音楽のリミックスを作ったりもしているんですよ」 自ら楽曲制作を手掛けるNOAは、「ディズニー作品や音楽からインスパイアを受けることは、ものすごくありますね」と続ける。 「作品を観ながら、『なんでいま、ここのシーンで感動したんだろう?』とか『なんでこんなに自分に伝わってくるんだろう?』というのは、その曲の歌い方や歌詞から研究させてもらっています。どこにも出してないんですけど、ディズニーが好きすぎて、パーク内で流れている音楽のリミックスを作ったりもしているんですよ。そのぐらい普段からディズニーの楽曲に影響を受けています」。 今年の9月には、ディズニー・チャンネルで放送中のアニメーションシリーズ「ハムスターとグレーテル」のテーマソングのカバーに挑戦した。今後カバーしてみたい楽曲について聞くと、「『塔の上のラプンツェル』の『輝く未来』と、『美女と野獣』のテーマソング『美女と野獣』が大好きでよく車の中で聴いているので、カバーしてみたいですね。あと、『ハイスクール・ミュージカル』も大好きなんですよ。ザック・エフロンが演じていたトロイがソロで歌っていた曲も歌ってみたいです!」と、意欲的。「ぜひカバーしてほしい」とスタッフから次々と声が上がると、「したい…します!機会があればもちろん!」とニッコリ。いつかカバーソングが公開されるのを、楽しみに待っていたい。 NOAも魅了された『ウィッシュ』の物語とすばらしい音楽たち。今回のインタビューでも語っていたように、きっと誰もがディズニーとの様々な記憶を思い出し、胸に込み上げてくるものがあるはず。その感動をぜひ、劇場で! 取材・文/紺野真利子