香港も旧正月の特別メニュー始まる 沖縄黒糖などの日本食材も
1月末に始まる旧正月を控え、香港の街なかも旧正月に向けたデコレーションが増え、ホテルやレストランでも特別メニューの提供が始まった。(香港経済新聞) 【写真】旧正月料理の一つ、豚足の煮込み「横財就手」 ハッピーバレーにあるコンテンポラリー中華「Hong Kong Cuisine1983」(1/F, Elegance Court, 2-4 Tsoi Tak Street, Happy Valley, Hong Kong TEL 2893 3788)では旧正月を迎えるに当たり、1月3日、サイラス・リー(Silas Li)シェフが考案した客家の伝統文化に敬意を表した特別メニューの提供を始めた。2022年、香港の上流階級のプライベートシェフを務めてきたサイラスさんが料理長として参画したことで、伝統にとらわれない調理法、フレンチの要素も織り込んだプレゼンテーションが人気を集める同店。今回、フォーカスを当てたのは客家料理である。 客家料理は本来、「大胆でありながらバランスのとれた味わいと、天然の旬の食材にこだわる」ことで知られている。「客家人には、本物の味を守り続けてきた長い料理の伝統がある。このメニューは そうした伝統的な習慣を祝うと同時に、旧正月の本質を祝うために考案した」とサイラスシェフは話す。新鮮な食材と伝統的な手法である発酵させた紅豆腐、黒豆ソース、干しカキなどを組み合わせた。 豚ひき肉と干し牡蠣を豚の脂で包み、カリカリに揚げた貝柱を載せた「網油釀金●配炸瑤柱」(2個、398香港ドル)は、この豚ひき肉と干し牡蠣の組み合わせが「中国文化の繁栄と幸運を象徴する」意味があり、「歯応えを追求した」という。季節の野菜とキヌガサダケを煮込んだ「竹笙如意羅漢齋」(480香港ドル) は、客家料理のシンプルさを反映した。 髪菜、干し牡蠣、豚タン入り土鍋煮込み「發財好市大利」(680香港ドル) は、牡蠣の「●●(ホウシー)」と景気や商売繁盛の意味を込めた「好市(ホウシー)」、髪の毛の塊のような中国野菜の一つ「髪菜(ファッチョイ)」と、金持ちになる「發財(ファッチョイ)」という意味を込めた名前をつけた音にかけた言葉遊びの旧正月料理。 豚足の煮込み「横財就手」(680香港ドル)は、もともと金運には、地道な労働によって得られる「正財」と、ギャンブルなどで変動ある「横財」があると言われているが、後者で「打つ手打つ手全て当たるように」と願いを込めた旧正月料理である。ほかにも、金華ハム、シイタケを重ねて、スープで蒸し上げた「金華玉樹鶏」(880香港ドル、要予約)や魚の甘酢あんかけ「松子桂魚」(1280香港ドル)、サーモンの撈起(ローヘイ)「鮮三文魚撈起」なども用意した。 自宅で旧正月に楽しむメニューも提供する。香港には旧正月に欠かせない料理の中に、3種類の●と呼ぶ餅類がある。事前にレストランなどに予約し、簡単に家で仕上げの調理をすることが多い。サイラスシェフは今年、日本の食材をこの旧正月の伝統メニューに使った。 「蘿蔔●」「年●」「紅豆●」などがあるが、大根餅「煙燻特級臘味蘿蔔●」(268香港ドル)には北海道産の高級貝柱を使った。おろした大根やカブに、上新粉、中華ソーセージ、干しエビ、干しシイタケなどを混ぜて蒸すもの。旧正月は冬の終わりから春の始まりを一年の始まりとするが、大根は秋冬に多く収穫されるため旬の食材となるため、旧正月の風物詩となっている。 定番の「年●」(228香港ドル)は、「沖縄黒糖年●」を販売する。もち米粉、赤糖とピーナッツオイルでできているものが多いが、今回サイラスシェフは沖縄黒糖を使った。香港人は自宅で卵液にくぐらせて食べる人も多い。サイラスシェフは「ユニークな風味があるため沖縄産の黒糖を選んだ」と話す。ほかにも小豆と糯米粉に水を加えて蒸す「鬼馬紅豆●」(218香港ドル)は2種類の食感を大切にした。事前予約で対応し、提供は1月21日~27日だが、19日までは早めの予約で割り引くほか、2個以上で10%割引く。 旧正月メニューの提供は2月12日まで。 ●=虫へんに豪、豆へんに支、●=米へんに羔
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