<STAP細胞問題>日本の若手研究者への影響は? 損なわれた「博士」への信頼性
研究不正防止策が進められていたが……
理化学研究所ではすでに、管理職は研究不正防止などに関する研修に参加することが義務づけられていました。しかし実際にそれに参加した者は全体の46パーセントにとどまり、小保方氏も参加していなかったことが発覚しました(『毎日新聞』2014年4月29日)。「理研はまだ真面目にやっているほうだと思います。大学だったら、4割もいかないかもしれません」(中村さん)。こうした対策が実質的に機能していないことは問題でしょう。 アメリカには、科学研究における不正行為などを監視する政府機関「研究公正局」があります。しかしながら、そのアメリカにおいてでさえ、研究不正は発覚し続け、論文の撤回も起き続けています。日本でどのような改革が行われたとしても、重要なのはその実効性です。 「量よりも質を重視するようになってほしい」という中村さんの主張が科学界に行き渡ることを願います。 (粥川準二/サイエンスライター)