ヤクルト・松本直樹、攻守の進化を後押しするコミュ力 物腰柔らかい燕の〝まっちゃん〟
【武田千怜のアナザーストーリー】ヤクルトの〝まっちゃん〟は、物腰が柔らかい。「まっちゃん」とニックネームで呼ぶ後輩すらいるほどだ。ヒーローインタビューに登壇した6歳下の丸山和に「(松本)直樹さんの足が〝ちょっと〟遅いので…」といじられても、「あいつ、気を使って〝ちょっと〟って言ってくれた」と笑って受け入れる。ヤクルト・松本直樹捕手(30)は、いつも誰かとニコニコ話しているイメージがあり、コミュ力が高い。 【写真】物腰柔らかい燕の〝まっちゃん〟こと松本直樹 今季は24試合に出場し、打率・321、1本塁打、5打点。好調の要因を聞くと「奇跡!!」と謙遜するが、奇跡などではない。貪欲な姿勢、コミュ力の高さが進化を後押ししている。 さかのぼること約2カ月前。4月21日のDeNA戦(神宮)の九回先頭で、中川を前に左飛に倒れた松本直は、球界野手最年長の42歳で日米通算2720安打(4日時点)を誇る青木に率直な意見を聞きにいった。 「僕のバッティングはどういうふうに見えていますか?」 速球に差し込まれないように、タイミングを早く取ろうと、これまでより左足を早めに上げる新フォームに取り組んでいる最中。指摘されたのは、足を上げた際に体が前(投手側)に流れる悪癖だった。青木から修正するために必要なトレーニングも教わり、体幹を強化。効果は抜群で6月は月間打率・389を記録し「足を上げて(真っすぐ)立っていられるようになった。それがだいぶ違うかなと思う。ありがたい」と感謝した。 7月3日のDeNA戦(横浜)でも好調ぶりを発揮。3点を先制された直後の二回1死二塁で13球粘った末に左前打で出塁し、次打者、山野のセーフティースクイズによる1得点につなげた。 この回だけでDeNAの先発、浜口に40球を投げさせ「先発に1球でも多く投げさせた方が、イニングも稼げない。2ストライクに追い込まれてしまったので、1球でも粘って、という気持ちだった。自分のできることをやれた」とうなずいた。浜口は4回101球で降板。チームの逆転勝ちに〝松本直の13球〟は欠かせなかった。 守備でもコミュ力の高さを発揮している。5月24日の中日戦以降、6試合連続でバッテリーを組む1歳上のサイスニードを親しみを込めて「サイちゃん」と呼ぶ。反対に右腕からの声かけの際は「『スミマセン、スミマセン』と日本語で呼ばれます」と笑う。捕手としてのモットーは、自分の考えを伝えつつ、投手が気持ちよく投げられるように相手の意見を尊重すること。そのために大切にするのが、コミュニケーションだ。