長崎大学園祭に自衛隊初参加 運営委が公募で受け入れ 災害派遣に限り展示
長崎市文教町の長崎大で2日始まった恒例の学園祭で、キャンパスの一角に自衛隊が広報ブースを構え、車両を展示した。同大学園祭は「学生が主体となって開催」と掲げる一方、「地域に開かれた大学」として外部団体の参加を認めており、自衛隊の参加は初めて。学生で組織する学園祭運営委員会の募集に自衛隊側が応募し、運営委が展示を災害派遣関連に限って受け入れた。 ブースでは、1月に起きた能登半島地震での災害派遣をとらえた写真や小型トラックを自衛隊長崎地方協力本部が展示し、自衛官が説明に当たった。学園祭のパンフレットには自衛隊の活動について「領土・領海・領空を守る」「海外での国際協力」なども書かれているが、今回の展示にはそうした内容はない。 小型トラックの写真を撮った同大1年の女子学生は「めったに見られない車で、かっこいい」と話した。 運営委によると、6月にX(旧ツイッター)で学園祭を盛り上げるための一般企画を募集。それを見た同本部から応募があった。参加の可否について運営委は同本部から提出された企画書を基に議論。「自衛隊を身近に感じてもらえる」「車両を置けば、子ども連れの来場者も楽しめる」といった意見が出された。 半面、自衛隊について複雑な感情を抱いている学生のことも考え、展示は災害派遣に限り、暴力的な場面は控え、隊員募集のチラシやポスターは置かないなどの条件で受け入れを決めた。学生団体と同様に出展料も請求した。 同本部によると、近年、自衛隊の活動について知ってもらおうと、地域のイベントに積極的に参加している。学園祭への参加について「学生のリクルートという意図はない?」と担当者に尋ねると、「まずは知ってもらうことから」とした上で、「もちろん、将来の道の一つとして考えてもらえればありがたい」とも話した。 今年の学園祭には自衛隊の他、化粧品会社が参加し、美容に関するイベントを行った。昨年は東京・秋葉原のメイドカフェが出店した。 学園祭とはいえ、大学構内で外部団体が広報活動をすることについて、同大はどう考えているのだろうか? 取材に対し、「運営委が深く検討し、自主的に判断、計画したものである」とコメントした。