ブラジルで活躍する日系企業の今(15)グローバルなロジスティクス企業ニッポン・エクスプレス・ブラジル社
本連載では「ブラジルで活躍する日系企業の今」をご紹介する。第15回目はニッポン・エクスプレス(NX)ブラジル社の滝本知巳社長に話を聞いた。日本企業のブラジル進出ブームの中、1979年に設立されたNXブラジルは、NXホールディングスの海外現地法人で5番目に長い歴史を持つ会社である。南米ではブラジルのみならず、2012年に新たにコロンビアに自社ネットワークを拡充させ、ラ米各国に代理店を設けることで南米市場の基盤を固め、IT化を推進した新時代の物流で日本ブラジル間にとどまらないグローバルビジネスを展開している。
100年以上の実績でグローバル展開
日本では「日通」として知られる日本通運は2022年からホールディングス制とし、新たにNippon Express Groupとなり、NXブランドを導入した。1872年に創業されてから輸送と物流において100年以上の蓄積された経験を持つ。 NXが最初に設立した海外現地法人は1962年のNXアメリカで、現在は米州地域で、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、コロンビアに131拠点が置かれている(2023年6月末現在)。ブラジルには、マナウス、サンパウロ、カンピーナス、グアルーリョス、リオ・デ・ジャネイロ、クリチバ、サントスに拠点を置き、国外とブラジル各地を常に最善の方法で結び、企業進出に対応したサービス体制を強化している。 NXといえば引っ越しサービスのイメージが定着して身近な企業であるが、ブラジルでの主なサービスは、海外で企業が製造した自動車関連部品や機械部品などの製品を目的地まで輸送することである。また、ブラジルからは農畜産物の国外輸送なども行っている。どのサービスも日本同様のきめ細やかさと効率的なスピード感が評価されている。
世界中の物流あるところにNXあり
日本発のフォワーディング企業として、日本のメーカーの物流が発生するところに進出してきたNX。NXというブランドを導入し、グローバル市場での存在感のある企業への進化を目指している。 NXブラジルは設立当初より海外へ引っ越しする駐在員への引っ越しサービスも手がけ、「日本のクオリティと安心」を運んできた。駐在員に限らず、一箱からの荷物や学生、単身の移動などにも対応している。ブラジル人の引っ越しスタッフには、米国法人から定期的に専任スタッフが訪れて実際の現場で指導し、10人以上の日本語ができるスタッフとともに常時お客様をサポートしている。 引越し貨物では日本品質を維持するとともに、商業貨物ではNXブランドの下でグローバル市場でのロジスティクス企業へと舵を切っている。 ブラジルと聞くと治安が最初に心配されるが、イタリアに9年近く駐在経験のある滝本社長は、「イタリアでもブラジル並みに輸送中の盗難には警戒する必要があった」と振り返る。予想されるあらゆるリスクを回避するために、NX独自のガイドラインに従ってドア・ツー・ドアサービスを展開している。