株高など追い風に国内IPO市場が活況、9月までに87件 1千億円以上の大型案件も
東京メトロが東京証券取引所の最上位プライム市場に23日上場するなど、株高基調を追い風に国内市場の新規株式公開（IPO）が増えている。東証によると2024年は9月末までに87件が上場し、直近5年の同期間で2番目に多い。今後の成長が見込まれる情報・通信や人工知能（AI）関連を中心に案件が増えており、IPO市場の活況はしばらく続きそうだ。 【グラフでみる】鉄道各社の運輸部門の売上高比率 「個人にもなじみがある会社が上場することで、投資家の裾野が広がる。非常に大きなメリットだ」 日本証券業協会の森田敏夫会長は16日の記者会見で、23日の東京メトロの上場に期待を込めた。 東京メトロの初値ベースの時価総額は9千億円超と今年最大のIPOとなり、投資家の注目度の高さが裏付けられた。時価総額が1千億円以上の大型IPOは今年、これで4件目となった。 東証によると、年間のIPO件数は20年以降、100件超えが続く。今年もこのペースが続けば、100件超えが射程に入りそうだ。 IPOが増えているのは、日経平均株価が今年7月に史上最高値を更新するなど株高基調が続き、企業が資金調達手段としてIPOを検討しやすくなったためだ。政府がスタートアップ（新興企業）の育成を強化しているほか、東証がIPOをしやすくする制度改正に取り組んでいることも増加の一因とみられる。 投資家が注目する分野として、大和証券の松下健哉理事は「情報・通信系で売り上げが伸びている会社や宇宙関連やAI関連」を挙げる。上場時点で事業が黒字化して、利益が出ていることも投資家は重視しており、「上場したら終わりではないというところは投資家もかなり意識している」と話す。（永田岳彦）
