【鳥谷敬】阪神二遊間の「衝突」に感じた木浪聖也離脱の影響 早急に「あうんの呼吸」を高めたい
<日本生命セ・パ交流戦:ソフトバンク1-4阪神>◇16日◇みずほペイペイドーム 阪神がソフトバンク3連戦3連敗を阻止し、首位広島とのゲーム差を3に縮めた。ただ、前日15日の同戦で死球を受けた木浪聖也内野手(30)がこの日、左肩甲骨骨折のため出場選手登録を抹消された。日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(42)は遊撃レギュラー格の離脱による不安要素を懸念し、中野拓夢内野手(27)、小幡竜平内野手(23)の新二遊間コンビに「あうんの呼吸」の精度アップを求めた。【聞き手=佐井陽介】 【写真】小幡と交錯しながらなんとか捕球する中野 ◇ ◇ ◇ ◇ 前川選手の初回満塁弾に導かれた快勝の裏で、ヒヤリとするシーンがありました。4点リードの3回無死一塁。投ゴロをさばいた才木投手が二塁送球した際、二塁ベース付近で二塁手の中野選手と遊撃手の小幡選手が衝突した場面です。中野選手が交錯しながらも捕球したことで、なんとかアウト1個を奪えました。とはいえ、もし捕球できずに無死一、二塁となっていれば、また展開は違っていたかもしれません。とにかく2人とも負傷につながらなくて何よりでした。 今季も開幕から遊撃レギュラー格だった木浪選手がこの日、左肩甲骨骨折で出場選手登録を抹消されました。チームにとって痛手に違いありませんが、遊撃を争っていた小幡選手からすればチャンスを手に入れた形。ただ、この日は早速、木浪選手離脱の影響の大きさを感じさせられました。 2人が衝突した場面はおそらく「投ゴロで併殺を狙う場合は遊撃手が二塁ベースに入る」という決めごとがあったのでしょう。ですが、遊撃前方にゴロが転がったことで、小幡選手は打球方向に動かざるを得なくなりました。ここで中野選手との「暗黙の了解」が成立していれば、取りに行ったゴロを才木投手が捕球した時点で「ベースは中野さんに任せます」と決めごとを“破棄”できたわけです。ただ、小幡選手は中野選手の動きを見てパッと引くことができず、決めごとを守ろうとした結果、2人は交錯してしまいました。 今回のようなイレギュラーなケースが起こった時ほど、二遊間は「連係力」を試されます。とはいえ、コンビネーションは日頃から練習と対話を積み重ねる他に深められません。中野選手と小幡選手は衝突直後、ベンチで守備コーチもまじえて話し合っていました。木浪選手の早期復帰が難しそうな状況。これから防げるミスを防いでいくためにも、2人は早急に「あうんの呼吸」の精度を高めていく必要がありそうです。(日刊スポーツ評論家)